サッカーW杯ロシア大会に日本代表として出場した新潟県三条市出身のDF酒井高徳選手(ハンブルガーSV所属)は6日、三条市を訪れて国定勇人三条市長を表敬訪問したあと、後援会主催で開かれた帰国報告会に出席した。帰国報告会には後援会をはじめ約250人のファンが集まり、日本代表からの引退を表明した酒井選手だが、4年後を期待するファンの熱い思いを受けて心変わりの可能性もちらつかせた。
酒井選手の帰条はこの日の昼ごろに三条市に連絡があった。それから会場やスケジュールをおさえて市長表敬と帰国報告会をばたばたで設定した。帰国報告会も周知する時間が限られたが、ユニホームを着た市内サッカーチームの小学生やテレビで日本代表の戦いを観戦していたファンが訪れ、会場の三条市役所第二庁舎の会議室はいっぱいになった。
酒井選手を拍手と歓声で迎え、ラジオパーソナリティーの高野一美さんが聞き役を務め、後援会会長の佐藤卓之県議も同席した。酒井選手はピッチに立ったグループリーグのポーランド戦について、時間稼ぎとも言われて賛否両論があったが、「悔しかったのはいちばん出てなかった選手たちで、アピールしたいっていう時間を90分間、使いたいにもかかわらず、歯を食いしばってでも(戦略を)理解したっていうのは、チームとしてグループリーグを突破するということに対して本当に気持ちが真っすぐみんなが向いてたから」と本意ではなかった胸の内を明かした。
本来のポジションのディフェンスではなく中盤での起用には「(監督から)そこで使っても何も問題ないというか、確信していると言われて、バランスをとったポジショニングだったり、守備の部分でしっかり貢献してもらえるのを期待していると言われた」、「監督が考えている部分と自分が貢献できる部分が、考えが一致していたと思うので、割と自分のなかでは、はっきりとした役割を意識してやれたのかなと思う」と振り返った。
敗戦後に代表引退を明らかにしたことについては「ここで言ったら皆さんの応援だったり励ましで気が変わってしまうと思うからあんまり言いたくないんですけど」と前置きし、「いろんな考えといろんな思い、いろんな決断があったなかで、自分のなかで決定したことであって、すごく走り抜けたと思う前回大会からの8年だったと思うし、個人的にも寂しい気持ちがないとか、代表に行きたくないという気持ちはないし、常にあそこにいたいと思う」と話し、自身のW杯出場の思いは変わらないが、若い選手に席を譲る方が日本代表がさらに強くなるからと決断した。
W杯のピッチに立つことは「県民としてのプレッシャー」を感じていたが「それをしっかり果たせたのは非常に良かった」。佐藤県議が、所属チームに戻って活躍し、新しい監督からそれでも代表に入ってくれと言われたら「ぜひまた胸を張って代表で活躍してもらえればと思う」に会場は大きな拍手。高野さんも「そこでまた状況が変わるかもしれないですし」と援護射撃すると、酒井選手もつい「そうですね」と苦笑いしながら同意していた。
このあと来場者の質問に答え、ジャンケンでグッズのプレゼントやサイン会も行った。サインは希望者全員に行い、ほとんどの来場者がサインに並んだが、酒井選手は最後のひとりまでサインしたり、写真に写ったりしてファンの要望に笑顔で応えていた。
(佐藤)