小学生が4泊5日をかけて100kmを歩き抜く体験学習型の青少年育成事業「第11回寺小屋つばさ100km徒歩の旅」が8日に三条市の「いい湯らてい」を出発して5日目の12日、弥彦村立弥彦中学校にゴール。参加した73人の小学生全員が元気に完歩を成し遂げた。
三条市、燕市、弥彦村の4年生以上の小学生を対象にした夏休み恒例の事業で、参加した73人は男子42人、女子31人の内訳。運営は小学生をサポートする大学生や専門学生の学生スタッフ81人、100km徒歩の旅に参加経験のある中高生18人、主催の実行委員会など社会人30人の大編成で取り組んだ。
この夏は記録的な猛暑で熱中症が心配され、実施を見合わせるべきとの意見もあったが休憩時間を長くしたり、ミストシャワーを使ったりと例年以上に熱中症対策に配慮し、万全な体制で臨んだ。しかし終わってみれば猛暑日になった日はなく、1日の最高気温は例年並み。逆に風雨に見舞われることもなく、どちらかと言えば順調な5日間だった。
とくに今回は中高生が貢献。何年か前に100kmを経験しているだけに、小学生を同じ目線で励ますことができ、小学生にとっても少し先輩の声を素直に受け止めることができ、言い換えれば甘えることができず、精神的に落ち込んだり、ぐずったりする子どももなく、充実した5日間だった。
最終日は最も過酷な弥彦山登山が待ち受けたが、遅れる子どももなく、予定を上回るペースで進んだ。最終地点の弥彦中ではグラウンドで班ごとにゴールした。子どもたちは班ごとにゴールテープ前に並び、「私たちがこの寺100で学んだことは、たくさんの人に支えてもらったことです」、「この10人で過ごした5日間は絶対に忘れません」とそれぞれあいさつし、「最後で最初の一歩!」と声を合わせてテープを切った。
弥彦中でゴールを待つ保護者の多くは、子どもと5日間も離れるのは初めて。ことしも最終日まで待ちきれずに歩いているようすを見に行き、注意を受ける保護者もいたが、5日間、子どもの情報から隔絶されて保護者から子離れしてもらうのもこの事業の大切な目的だ。
ゴールした子どもを保護者は「お帰り!」と迎えた。多くのお母さんが目を赤くし、「頑張ったね!」、「よくやったよ!」と夢中で抱きしめた。なかには大泣きする主に男の子もいたが、例年に比べると泣く子は少なく、ゴールした達成感や充実感をかみしめていた。このあと解団式を行ってこの夏休みの暑くて熱い忘れられない思い出を締めくくった。
(佐藤)