鮮魚店が無料で提供する魚を料理し、食べる人が自分で料理の値段を決める投げ銭スタイルで売り上げを平成30年7月豪雨災害義援金にするイベント「長谷川鮮魚店と頼りになる仲間達」が22日(水)午後3時半から三条市本町2、酒場カンテツで行われる。
魚を提供するのは、店舗をもたずに定期市に出店する長谷川隆志さん(58)=三条市石上3=が営む長谷川鮮魚店。ウニ、マグロの中落ち、佐渡産の甘エビなど数万円分の食材を用意する。それを酒場カンテツが刺身や甘エビの天ぷらなどにして小皿に盛ってカウンターに並べ、バイキングのように客は小皿を取り、自分で値段を決めて募金箱に入れて食べるというユニークな趣向だ。
加えて地元の内山農園が野菜とコメ、佐久間食品が豆腐と厚揚げ、原仙が肉系、道の駅 漢学の里が野菜、NAコンサルティングがシロップなどを提供する。酒場カンテツの飲み物以外はすべて義援金への寄付に充てる。
このイベントは、長谷川さんが酒場カンテツを経営する関本ひでじろうさん(45)に話をもちかけたことから始まった。三条市の嵐南地区が浸水する大規模な被害を受けた2004年の7.13水害で、嵐南地区の島田1にあった長谷川鮮魚店のトラックと冷蔵庫が被災し、損害は何百万円にもなり、1カ月間、仕事にならなかった。
片付けに途方に暮れていると、手伝ってくれたのが見ず知らずの高校生だった。「年寄りは口ばっかなのに若い子が何も文句を言わず、見返りも求めずに助けてくれた。それを今度は俺がやろう」と、豪雨災害の被害の大きさを知って思いついた。
「俺は掃除も何もできねえ。せめてお金をと思ったけど、少しでも銭を大きくしてやらねーと」と関本さんに話をもちかけ、「長谷川さんの頼みなら」と関本さんはふたつ返事で引き受けた。
長谷川さんにとって関本さんの亡くなった父は、繁華街の本寺小路を飲み歩く先輩だった。ふたりで相談し、さらに知り合いに声をかけて今回のイベントを企画した。
「俺にはこれくらいのことしかできない」と長谷川さんは謙そん。「ふつうの、いつもの食材を楽しんでほしい」とイベントへの来店を待っている。
(佐藤)