新潟市の「水と土の芸術祭2018」の一環で26日、新潟市西蒲区巻甲のコーポ中吉川APで空き缶を使ったミニロケットストーブ製作体験が行われ、6組の10人が参加した。
武蔵野美術大学彫刻科を卒業し、ロケットストーブの製作やワークショップも行うRIKI TRIBAL代表の長野県長野市に住む小池雅久さんが講師。小池さんの話を聞きながらアウトドアや災害時に活躍するロケットストーブを作った。
ロケットストーブは長年、途上国の農村で悩まされてきたまきストーブの煙や粉じんが引き起こす病を解決するため、1980年代に考案されたストーブ。身近にある材料で誰にでも作ることができ、簡単に伝授できる簡易型ストーブとして近年、注目されている。
本体は一斗缶を使うことが多いが今回、本体にしたのは容量3.1リットルの円筒形の1号缶。それより二回りほど小さい28オンス缶2つと断熱材が材料だ。大きい缶の中に小さい缶を入れ、間に断熱材を入れて上から見るとドーナツのようにし、横から刺した缶の上下を仕切って上でまきを燃やすといった構造。中心部分が高熱になることで効率的に燃焼する。
親子の参加もあり、缶を切る作業は子どもでは難しく、親も手伝いながらの作業だったが、お父さんの方が熱中することも。予定より早く完成し、先に作っておいたミニロケットストーブで着火や使い方も学んだ。上にやかんが置ける仕様で、着火に時間がかかるが、火が大きくなってしまえばガスコンロかと思うほど短時間で沸騰することに驚いていた。
地元の西蒲区巻甲、会社員阿部一郎さん(43)は長女の海鈴ちゃん(5)とふたりで参加したが「ぼくの方が楽しかった」と阿部さん。「子どもも少しは危ないものを感じられるいい機会になった」と喜んでいた。
中吉川APは巻地区を中心とした若手のデザインチーム。古くからの郷土玩具、鯛車の保存や普及にも努めている。2月に長野市の善光寺で開かれる長野灯明まつりに数年前から鯛車で参加し、鯛車を作るワークショップを行うなかで今回、講師を頼んだ小池さんと知り合った。
中吉川AP代表の皆川俊理さん(42)は、「火のある生活がいいなと思っていて」と言う。中吉川APは拠点として借りているアパートのリノベーションに取り組んでいて、そこに小池さんからロケットストーブを設置してほしいと考えた。そこで今回のミニロケットストーブ製作体験とあわせて、水と土の芸術祭のプログラムのひとつとして申請し、実現した。
アパートに設置するロケットストーブは、7月初旬から何度か小池さんが訪れて現場で製作している。新潟市南区で生産されている時計型のまきストーブを組み込み、調理用のオーブンまで備えるオリジナル。9月22日(土)に開かれる「鯛の宵」にあわせて、その完成お披露目会が開かれる。