新潟県三条市に本社を置く世界的なアウトドアブランドのスノーピーク(山井太代表取締役社長・本社三条市中野原)は27日、三条市のジオ・ワールドビップで創業60周年記念パーティーを開き、約350人が出席して還暦となる同社の大きな節目を祝った。
スノーピークは山井社長の父、山井幸雄氏が1958年に金物問屋の山井幸雄商店を創業して始まった。71年に株式会社ヤマコウへ組織変更し、96年に今の社名に変更。2014年に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、翌15年に東京証券取引所一部市場に指定されている。
山井社長は、父から受け継いだ登山のスピリットや60年の歴史にふれ、「ピュアでロマンチックで少しセンチメンタルな会社」と評し、「60周年に際し、私たちのコアな使命である人間性の回復をいっそう実現するため、次なる60周年をきょう、ご臨席の皆さまおひとりおひとりとともにつくっていきたい」とあいさつした。
来賓が祝辞を述べた。菊田真紀子衆院議員は「これから山井社長はさらに大きなチャレンジをされると思う。ぜひそのチャレンジ、夢に向かって大きな一歩を踏み出していただきますように」。花角英世知事は「わたしも創業60周年」と笑わせ、「異業種とのコラボという形で事業展開を広げていることは、県内企業のモデルとなる。その意欲的な企業経営に経緯を表する」。
国定勇人三条市長は、三条市が大きな被害を受けた2004年の7.13水害のときに民間でありながら山井社長がボランティアセンターを立ち上げたのがスノーピークとの直接的な接点だったと紹介し、当時から山井さんが示している燕三条地域のまちづくりの方向性やビジョンには「落第点をもらってもおかしくない恥ずかしい姿」と自戒。「三条市、そして燕三条地域としても世界にさらに羽ばたくスノーピークを地域をあげて目指し、全体の底上げをねらって世界に誇れる三条市、世界に知られる燕三条地域の実現をともに勝ち取っていきたい」と述べた。
スノーピークは「ルミネ新宿」に店舗を展開しており、株式会社ルミネの新井良亮取締役相談役は「正解がないと言われるこれからの厳しい時代のなかで、それを見事に乗り切っていただけるということで、この会社の社員は幸せだなと、称賛したいし、応援できるところは応援していきたい」。
「サントリー天然水×Snow Peak」や「サントリー天然水×Snow Peak」でコラボレーションするサントリーホールディングス株式会社の鳥井信宏代表取締役副社長は「努力は夢中に勝てない。ぜひスノーピークの皆さんはこれまで通り夢中でいろんなことを楽しんで会社を大きくしていただきたい」。
山井社長の兄貴分と両者が認める新潟経済同友会の代表幹事で株式会社ハードオフコーポレーションの山本善政代表取締役会長兼社長は、「屏風を広げすぎると倒れてしまう言葉があるが、今くらいがちょうどいいんじゃないかという気がして、広げすぎないようにと。広げ方が見事だと思う。どこからそういうセンスがくるんだと思うことがあり、非常に経営者としての手腕はグッドだと思う」と述べ、山井社長の父が写る写真を絵画にしたものをプレゼントした。
閉式のあいさつで主にスノーピークのアパレル部門で手腕をふるう山井社長の長女で取締役の山井梨沙企画開発本部長は「スノーピークの人間性の回復事業は、まだまだやるべきことと社会に対してやっていかなければならないことがたくさんあると感じる。私がやらなければいけないのは、次世代のメンバーと一緒にスノーピークの10年後、20年後を一歩ずつ、とにかくやりたいこと、やるべきことはすべて形にしようと思っているので、今後ともスノーピークの未来にご期待いただければ」と話し、一本締めでしめくくった。