燕市宮町の「サンロード宮町商店街」にことし2月、燕市でインターンシップする学生のための拠点施設「つばめ産学協創スクエア」がオープン。昔ながらの商店街に確実に新しい風を吹き込んでいる産学協創スクエアを地元宮町が歓迎しようと11日夜、町内&つばめ産学協創スクエア交流会が開かれ、約百人が参加して大いに盛り上がった。
交流会は宮町自治会(竹井満喜子会長)が主催し、宮町商店街とつばめ産学協創スクエアを運営する公益財団法人つばめいと(山後春信代表理事)が後援した。旧武田文祥堂跡地にブルーシートを敷き、バーベキューコンロを並べたていどのシンプルなしつらえだ。
参加者は自治会、商店街、産学協創スクエア、市役所の関係者をはじめ、新潟大学に留学して産学協創スクエアを利用してインターシップを行っている大学生、まちづくりにかかわる人など幅広い市民が集まった。
これから商店街裏のシェアハウスで暮らす女性2人と燕市に転入する男性1人の20歳代の3人が自己紹介したていどで、これといった進行もなく、星空の下、肉や魚を焼き、ビールを飲んで仲間と話したり、積極的に話相手を見つけて交流したりと何も強制することはない。
南波瑞夫副市長が得意のギターの弾き語りを披露すれば、宮町の鎮守「戸隠神社」の春祭りを彩る木場小路万灯組が伊勢音頭と踊りを披露。通りかかった人もふらっと立ち寄り、気ままに時間を忘れて楽しんだ。
来年、総務省に入省が決まって知り合った東大と京大の男子学生4人も参加した。入省を前に地方を肌で感じようと、それぞれの出身地を4人で旅しているもので、その振り出しが燕市。日中は燕市内3カ所で工場や職人を見学した。
そのうちのひとりが、宮町商店街にある燕市内唯一の銭湯「玉宅湯」が実家の玉橋尚和さん(26)。高卒から航空自衛隊、慶応大、京大の大学院へ進み、地域にかかわりたいと総務省を目指した。入省前だが、「いずれ燕市に帰ってきたい。こんな地域はほかにない」と燕愛にあふれている。
「ほかの3人は燕三条のような地域があること自体、知らなかったので、それを見せることによって日本全体で考えてほしいと思って。3人は、燕三条という地域はなんだこれはと。こんな地域経済が回っているところはないと感動してた」と燕ツアーの成果を喜んでいた。このあとや富山県、兵庫県豊岡市を訪ねる。
交流会を企画したのは、宮町のキーパーソンと言える「理容コバヤシ」を営む小林栄一さん(77)。町内の人が産学協創スクエアに出入りすることはなく、産学協創スクエアを利用する学生が町内の人とかかわることもほとんどない。そこで小林さんは「俺が仕掛けんばだめら」と思い立った。
ことしの冬の記録的な豪雪で商店主らがいっせいに除雪作業を行ったのも、呼びかけたのは小林さん。心が決まれば、行動は速い。参加費をもらうのが面倒だからと、町内から祝儀を集めてきて費用をまかない、なんと参加無料。寄付集めも「小遣いくれや言うて、威張ってもろてんだ」と笑う。
若者も含め予想以上に大勢が参加してくれたことに「これが正解らと思うんだいやね」と小林さんは結果に大満足。「これもスクエアが宮町に入ってきてくれたおかげ」と感謝するばかりだ。
つばめいとの山後代表理事は、若者が宮町に集まり、移住にもつながていることに「産学協創スクエアが起爆剤となったのならうれしい」。「若い子を受け入れる素地が宮町にあった。スクエアをつくるときに宮町は反対はひとつもなかった」と地元の歓迎が協創スクエアを後押ししていることに感謝している。
(佐藤)