三条市は29日から10月3日まで、三条東公民館で名誉市民鶴巻三郎生誕110周年記念展「鶴巻三郎展」を開き、三条市名誉市民で日展審査委員も務めた紙塑人形作家、鶴巻三郎さん(1908-2005)の作品47点とゆかりの品などを一堂に展示している。
作品は、昭和10年代から、30年代を中心に、絶作の平成13年「対話」まで47点。昭和21年の第2回日展で日展史上初の人形での特選を受賞した「せんこはなび」をはじめとする紙塑人形、具象からより抽象的な作品に昇華させたという人形作品に加え、レリーフ様作品、ろうけつ染めの六曲屏風など。
さらに、生前に交流のあった棟方志功氏からのハガキ、鶴巻さんと同じく名誉市民の渡辺義雄氏が撮影した写真、諸橋轍次氏の礼状なども、ゆかりの品として展示されている。
初日29日は午前10時に開場式を行い、約80人が列席するなかで国定勇人市長、来賓の鶴巻三郎さんの娘で彫塑家の鶴巻純子さん、阿部銀次郎市議会議長の3人がテープカットを行って開場。
鶴巻純子さんによるギャラリートークも行われ、四方から鑑賞できるガラスの展示ケースの中の作品を紹介しながら、父三郎さんの人柄や創作秘話にふれた。
純子さんは、「生前、父はふるさと三条をこよなく愛しておりまして、作品が世に認められ、芸術家として軌道にのり始めたころより、東京の支持者や先輩から、ぜひ東京に来ませんかと熱心に誘われていました。そういうときは、いつも「自分を育ててくれた三条を離れられない」と申しておりました」と話したが、現在とは異なり、東京と地方では作家としての活動にハンディがあり、困難も多くあったという。
しかし、「名誉市民に推たいされ、今、こうしてこのような盛大な展覧会を開催して頂き、多くの方から足を運んで頂き、『やはり三条もんでよかったな』と、幸せをかみしているのではないでしょうか」と、声を震わせた。
また、展示されている作品について、「造形表現は変化していますが、父の一貫したテーマ『人間愛』はかわっておりません」と述べ、「世の中がいつまでも平和で、子どもの未来が幸せで開かれているようにと願い、子どもたちの日常のひとこまを表現した童の作品や、親子の情景、抽象化されていった作品も、それぞれ、人と人とのふれあいを生涯を通じて表現しています」と紹介。「作品を通して託した深い人間愛を感じて頂けたら幸いです」と話した。
名誉市民鶴巻三郎生誕110周年記念展「鶴巻三郎展」は、午前10時から午後5時まで。最終日の10月3日のみ午後3時まで。入場無料。
(坂井)