新潟県弥彦村で180年続く酒蔵、弥彦酒造株式会社(渡辺淳一代表・弥彦村上泉)は13日、地元弥彦にこだわった同社の純米吟醸酒「彌彦愛国」の原料米である古代米「愛国」の収穫祭を行った。
「弥彦愛国」は農業から醸造まですべて弥彦産にこだわったプロジェクトから生まれ、ことしで14年目になる。新潟県作物研究センターに保存されていた「愛国」の種子10グラムを農協からわけてもらって始まった。
「愛国」を減農薬、無科学肥料で栽培し、弥彦酒造で醸造。酵母は弥彦山頂に1本だけ自生する弥彦村文化財「ヤヒコザクラ」の花びら、樹皮から純粋分離培養した清酒酵母「東京農大弥彦桜5号」を使う。ラベルは弥彦在住の書家、田中藍堂さんが1枚1枚、手書きするこだわりようだ。
昨年はプロジェクトのクラウドファンディングも行い、50万円の目標に対し2倍を超える103万3,000円の支援を集めている。
「愛国」の収穫は毎年、一般にも参加者を募って収穫祭を行っていて、誰でも参加できる。ことしはJA共済地域貢献事業の補助金も浮け、地元の上泉生産組合が管理する田んぼのうち広さ約30アールで栽培した「愛国」を収穫した。
けるような青空が広がった。約70人が参加して一部はかまを使って手刈りを体験して、天日干しするはざがけに。残りはコンバインで一気に収穫した。西に弥彦山を望む田んぼに入り、黄金色の稲穂を揺らす「愛国」をザクザクと小気味いい音をたててかまで刈り取った。
「彌彦愛国」を提供している東京・神楽坂の居酒屋「酒たまねぎや」の主人、木下隆義さん(64)は、台湾人の実業家夫婦を含む2組の店の客を連れて初めて収穫祭に参加した。
木下さんは「彌彦愛国」について「大吟醸としては地味だが、飲み飽きしないすっきりした味」で、「弥彦にこだわっているという意味で特徴を出していると思う」と話していた。
(佐藤)