新潟県三条市の諸橋轍次記念館で10日、第十回諸橋轍次博士記念漢詩大会の記念講演会が開かれ、テレビなどでもおなじみの日本文学研究者ロバート・キャンベルさんの講演を120人余りが聴き入った。
翌11日の公募した漢詩の表彰式や流觴曲水宴(りゅうしょうきょくすいえん)とあわせて2日間にわたる漢詩大会のなかの記念講演会。「日本漢詩文を『文学』と呼ぶべきかをめぐる考察」をテーマに講演した。
ロバート・キャンベルさんはアメリカ出身の日本文学者で、東京大学名誉教授、国文学研究資料館館長にも就く。明治の漢文学はとくに研究している分野のひとつだ。
ロバート・キャンベルさんは会場の諸橋轍次記念館に至るまでの道中で見た紅葉やハクチョウに「美しさに圧倒された」と評し、文芸と文学の違いや文学の定義から始め、「文学にかかわることは国は豊かにし、コミュニケーションを豊かにしていく」とした。
さらに「文学とは何かを日本のなかで解決していないのではないか。最近、とくに東日本大震災あたりから文学は人々のつえになり得るのか。文学はとくに人々の非常事態にどういう力になり得るのか。それに対する希求は今の日本にある。文学という制度、仕組みにはそれを支えていくか、答えていくか、応援していくかというと必ずしもそうではない」と問題提起もし、具体的に漢詩を取り上げながら講演を進めた。
(佐藤)