11月18日(日)まで長岡市栃尾美術館(新潟県長岡市上の原町1番13号)で「ミニチュアワンダーランド 世界のドールハウス展」が開かれており、16世紀中ごろにドイツの貴族が娘の情操教育のため職人に作らせたのが始まりと言われる建物や家財道具を精巧にミニチュア化したヨーロッパのドールハウスが並んでいる。
昨年、オープンした箱根ドールハウス美術館(新美康明館長・神奈川県足柄下郡箱根町芦之湯)からドールハウスを借りて展示しているほか、日本の作家による作品も展示している。
ドールハウスは子どものおもちゃとして生まれた貴族のものだったが、しだいにおとなの美術工芸品として愛されるようになり、ヨーロッパからアメリカ、日本へも広がった。同展ではドールハウスの「見る」、「学ぶ」、「遊ぶ」、「作る」、「集める」「旅をする」といった6つの楽しみ方を紹介し、技術の精巧さ、作られた社会背景、奥深さなどの魅力を余すことなく披露している。
作品の多くは実物の12分の1サイズ。イギリスの文豪トーマス・ハーディングの家やアメリカのテレビドラマにもなった「大草原の小さな家」のローラの丸太小屋、絵本「ピーター・ラビット」の生みの親であるビアトリクス・ポターが暮らしたイギリス中部の湖水地方に建つヒルトップ・ハウスもある。
初日は館長の新美康明さん(66)がギャラリートークを行った。「ドールハウスは歴史を物語るわかりやすいツール」、「教育的なものとして愛され続けている」、「あくまで本物にこだわっている」と新美さんはドールハウスの魅力を話した。
説明を聞いていた女性は「75年ぶりに夢がかなった。東京にいたときにドールハウスで遊び、ドールハウスを見たいと思っていた。200年以上も前のドールハウスも見ることができ、いい展覧会です」と感動していた。
新美さんは25年ほど前にドールハウスの展覧会を企画したが、肝心のドールハウスを借りられず、それなら自分でと収集を始め、2017年4月に箱根ドールハウス美術館を開館した。新美さんは「昔の生活、文化が一目瞭然(りょうぜん)でわかるだけでじゃなく、歴史を学ぶこともでき、楽しみ方の範囲が広いのがドールハウスの魅力」と話していた。
月曜の12日は休館日、午前9時から午後5時まで開館。入館料は一般200円、高校・大学生150円、小・中学生100円。問い合わせは長岡市栃尾美術館(0258-53-6300)へ。