新潟県加茂市の書家、泉田祐子さん(41)が開く書道教室の展覧会「筆人(ふでびと)の集い」が24日、三条市の三条東公民館で開かれ、個性豊かな会員が手がけたひと味もふた味も変わった自由奔放な作品が来場者を楽しませた。
毎週火曜に4回に分けて自身の作品の常設展示空間「ギャラリー宙(そら)」で書道教室を開いている。そこに通う16人が書いた26点を展示した。
生徒は泉田さんの地元の加茂市のほかに三条市や十日町市から通う。自分で詠んだ俳句を書いたり、禅語を書いたり、神職が祓詞(はらいことば)を書いたり、デザイナーが名刺デザイン用に書いた名前を展示したり。極めつけは薬剤師が書いた薬局のPOPの「腸美人」、「快食快便」と何でもありで、その手本も泉田さんが書いたというからおもしろい。生徒の展覧会だからと先生の作品がなかったのも珍しい。
そもそも泉田さんは書家は書を教えるものではないと思っていたが、見附市の鉄工業を営む人からの勧めで求められて、6年前に書道教室を始めた。今は30人ほどに手ほどきしている。展覧会はことしで4年目になった。これまでギャラリー宙で開いたが手狭なので、初めて三条東公民館で開いた。
泉田さんは頼まれれば手本を書くが、先に手本を書いてその通りに書かせるようなことはしない。自由に好きなように書いてもらい、生徒と話しながら指導する。「学ぶ」や「習う」より「たしなむ」がしっくりする。展覧会の看板やパンフレットも生徒が自主的に作った。会場へ和服を着て訪れる人もあり、それぞれが楽しんでいる雰囲気が会場にあふれている。
泉田さんは「みんなが先生みたいな作品。それぞれ個性的でそれぞれの書体で人生観があふれ、誰の真似をしたということもない」と生徒の作品に目を細めていた。
(佐藤)