公益財団法人燕三条地場産業振興センター(新潟県三条市須頃1)は、同センターのレストラン施設「レストラン・メッセピア」の運営管理業務を委託するため、直営での営業を11月30日で終了。1995年から23年間にわたる直営営業の幕を引いた。
1988年に営業を開始した当初は洋食器センター「キタロー」を運営していた新潟物産株式会社にレストランを業務委託し、続いて三条ロイヤルホテルに委託した後、95年から直営で運営してきた。
施設の改修やメニューの見直しなどを行ってきたが、近年は赤字が続いた。運営を委託することで立て直しを図ろうと委託事業者をプロポーザルで公募し、株式会社BIT(秋山武士代表取締役・新潟市中央区)を選定。2019年3月下旬のリニューアルオープンに向けて改装工事を行うため、11月いっぱいで直営営業を終了することになった。
最終日30日はいつも通り午後5時半で通常営業を終了したが、ディナーの予約が2件あったため、夜も貸し切りで営業した。そのうちの1件は燕市の職員のグループ。同センターにはプロパーの職員のほかに燕市と三条市の職員も出向しており、燕市職員のうち出向経験のある職員と担当の商工振興課職員の有志11人が参加した。
参加希望者の都合を確認したら、たまたま最終日がいちばん都合が良かった。乾杯のあと、最終日に勤務していた3人の職員にサプライズで花束を贈った。3人のうちマネジャーの赤塚ゆかりさん(51)は同センターのほかの部署へ異動し、フロア担当とシェフはそれぞれ新天地で働く。
赤塚さんは95年4月に直営になった半年後から調理の手伝いのパートとして働き始めた。その後、正職員に採用され、経理を担当した時期もあり、マネジャーとして働いて15年ほどになった。この23年、レストラン・メッセピアとともに歩んできた。
赤塚さんは「サービス業の経験がなく、何もかも初めて。ど素人でした」と振り返る。以前は同センターの付帯施設といった位置付けで考えていたが、この6年ほどはさまざまな取り組みに挑戦してきた。
「この仕事に心残りや未練はない」と思っていたが、最終日は午前3時に目が覚め、再び寝付くことができなかった。出勤後はなぜか涙がこぼれた。燕市職員から花束を受け取るとあふれる涙をこらえられなかった。「何なのか自分でもわからない」と、笑顔と涙でこみ上げる感情を受け止めていた。
(佐藤)