新潟県内で病院や介護老人保健施設を展開する医療法人愛広会(池田弘理事長・新潟県新潟市北区)が新潟県燕市の県立燕労災病院跡地で回復機能を担う病院の整備を計画している。その誘致を進めたい燕市と弥彦村は6日、同じ燕市にある県立吉田病院の改築後の病床数と医療法人愛広会が整備する病院の病床数の合計が現在の県立吉田病院の病床数である199床以上を確保することなどを求める要望書を花角英世知事に提出した。
燕市の鈴木力市長、丸山吉朗市議会議長、弥彦村の小林豊彦村長、武石雅之村議会議長の4人の連名で「燕・弥彦地域における医療提供体制整備に関する要望書」を花角知事に提出したもので、弥彦村は議会中のため、燕市側だけ県庁を訪れた。
県央圏域では県立燕労災病院と厚生連三条総合病院の統合、再編による県央基幹病院の整備が進んでいるが、県立燕労災病院の医療機能が三条市に移転することで医療提供の地域バランスが崩れて不安感が大きくなるとし、2017年7月にも燕・弥彦地域で唯一の病院となる県立吉田病院の早期改築と機能強化を県に要望した。
ここにきて新たに医療法人愛広会の整備の計画がもちあがったことを歓迎する一方で、現在の県立吉田病院の病床数の確保を求めようと要望書を提出した。
あわせて県立吉田病院は「消化器系疾患診療」、「人工透析」、「子どもの心の診療・小児慢性疾患診療」といった従来の特色、機能の維持充実に加え、県が進める「にいがた新世代ヘルスケア情報基盤プロジェクト」と連携した取り組みや燕市と弥彦村が進める健康増進事業や地域包括ケアシステム構築への支援強化など、県立吉田病院が未来志向の地域密着型先進的事例となるよう整備、運営を求めた。
さらに県立吉田病院は耐震基準を満たさない施設なので早期改築のため整備計画の検討進度をできるかぎり早めることを求めたもので、鈴木市長らは花角知事の対応に好感触を得ていた。要望書の内容は次の通り。
新潟県知事
花 角 英 世 様
燕・弥彦地域における医療提供体制整備に関する要望書
平成30年12月 6 日
燕市長 鈴木 力
燕市議会議長 丸山 吉朗
弥彦村長 小林 豊彦
弥彦村議会議長 武石 雅之
県央圏域における医療提供体制の強化を図るため、県立燕労災病院と厚生連三条総合病院の統合・再編による県央基幹病院の整備が進められていることに感謝いたします。
燕・弥彦地域の住民は、救命救急医療等の確保・充実を大いに期待し、同病院の早期開院を待ち望んでおります。しかしながら、その一方で、県立燕労災病院の医療機能が三条市地内に移転し医療提供の地域バランスを欠く状態となることに対する不安感が大きくなっていることも事実です。このため、平成29年7月25日に燕・弥彦地域唯一の病院となる県立吉田病院の早期改築と機能強化に関し要望を行ってまいりました。
こうした中、医療法人愛広会から、燕市内に回復期機能を担う病院を新たに整備したいとする意向が示されました。地域にとって不足する病床機能を備える新病院は、地域住民が安心して医療を受けられる体制整備として重要であることから、燕市、弥彦村としましても医療法人愛広会が計画する病院を是非とも県立燕労災病院跡地に誘致したいと考えております。
ついては、県央圏域における地域バランスにも配慮された医療提供体制整備に向け、県立吉田病院改築に当たり、同病院が地域に密着した病院として特色ある医療を引き続き提供していくための機能強化を図るとともに、医療法人愛広会が計画する病院の整備が可能となるよう、下記項目について要望します。
記
(佐藤)