世界に知られる金属加工業をはじめとしたものづくりのまち、新潟県燕地区の1,842社が入会する燕商工会議所（田野隆夫会頭）は、ことし2月末に団体としては全国初の求人情報サイト「つばめjob（ジョブ）ナビ」を開設。好調な業績で拡大が続く地元業界を支える人材を募集している。

燕商工会議所会員のうち製造業を中心に12月10日ま85社がつばめjobナビに登録を申し込み、順に公開している。各社の概要をはじめ採用に関する仕事内容や給与、休日、福利厚生などを網羅する。

掲載料は年間税込み1万円。民間の求人情報サイトの登録には100万円といった単位の費用がかかるなか、格段に安い。掲載データは利用企業で自ら更新できるだけでなく、パソコンが苦手、更新にかける時間も人手もないといった企業のために事務局でも代行する。

あわせて社会人インターンシップの情報も紹介し、12月10日現在、5社が登録している。新卒に限らず転職や再就職を考えている人から実際に燕の会社の仕事を体験してもらって自分に合った会社を見極めてもらう取り組み。朝礼から終業まで体験して文字や工場見学だけでは伝わりにくい職場の雰囲気や仕事内容を知ることができ、体験後は各企業から記念品ももらえる。

工業統計調査によると、燕市の製造品出荷額は2015年には4413億円となり、リーマンショック前のピークの07年の4334億円を超え、景況は上向いた状態が続いている。

増加する受注に業務拡張でこたえようと社員を募集する企業は多い。さらに背景として高齢化などで小規模事業者が廃業することにより、外注先を失って内製化に迫られ、新たな人材の確保が必要になるケースも多く、求人意欲は旺盛だ。

しかし社員を募集したからといって、思うように応募はこないのが実情だ。独自の求人誌の発行も考えたが、各社の求人内容はくるくる変わるし、若い人には紙ベースでは届きにくい。いつでも内容を更新できるようにネットで発信しようと、独自で求人情報サイトを立ち上げた。

民間企業や自治体が開設する求人情報サイトは数多いが、商工会議所などの団体では、全国でも初めて。県の補助金を受けて開設した。ただ、検索しても大手の求人情報サイトが検索結果の上位に表示され、しかも燕市内の企業の情報になかなかたどり着かないことから、つばめjobナビの結果が上位表示されるようにSEO対策に取り組み、燕市内の企業への就職を考えている人にはまず、つばめjobナビを利用するようPRしている。

燕商工会議所経営支援課の高野雅哉課長によると、若い人は製造業よりサービス業への就職を好むが、サービス業から製造業へ転職した人の話を聞くと「ものづくりを中心とした仕事は社内の人間関係がいい。ものができる達成感もみんなで味わえ、楽しくおもしろいという声を聞く」とイメージとは異なる現場のようすを話す。

製造業では仕事の効率や精度が落ちるといった理由から残業をせず、休みも決めた通りにきちっと取れる企業がほとんどと言う。製造業は創業100年にもなる企業が多く、安心して就職できる。完全週休2日制も増えている。

「燕での仕事は魅力的でやりがいがある。中で働く人も気持ちのいい人ばかり。そこそこ自然もあって、そこそこ都会。住みやすく名物のラーメンもあり、ぜひ長く勤めてほしい」と高野課長は、ものづくり企業で働く魅力を県外へもアピールしている。

求人情報を登録する企業も募集しており、つばめjobナビに関する問い合わせは燕商工会議所（電話：0256-63-4116）へ。

（佐藤）

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