新潟県燕市の若手農業者ステップアップ事業の一環の初めての若手農業者直売会が12日、燕市役所で開かれ、市内11農家の若手12人が日常の農作業とはまったく勝手の違う販売を体験した。
この事業は、高齢化が著しい農業の未来を見据え、若手農業者が交流を深めながら主体的に活動し、農業の活性化を図ろうという取り組みで、ことしで3年目。燕市合併前の旧燕市、旧吉田町、旧分水町それぞれにJA越後中央の営農センターがあり、今も営農センター単位での活動が基本になっていることから、燕市全体でひとつになって農業に取り組んでいくねらいもある。
おおむね50歳以下の市内若手農業者約50人がメンバーで、各農家のコメの食べ比べ、加工品の作り方の勉強会、経営セミナー、POPの書き方、商品撮影の方法の勉強などを行ってきた。
以前から直売会の計画もあったが、なかなか腰が重く、日程も都合がつかなかったがようやく実現。接客や販売すきるの向上を目指すトレーニングとして行ったので、周知はせずに夕方、主に退庁する職員を対象に販売した。
市役所エントランスに机を並べて臨時直売場を開設。コメ、野菜、果物、加工品、花、はちみつなどを販売した。退庁時間を過ぎると女性職員を中心に買い物に訪れ、次々と商品が売れた。
ジャガイモを袋に詰め放題100円で販売したり、試食を用意したりと工夫する人もいたが、商品を前に突っ立っている人も多く、思うように客に声をかけられず、商品と金の受け渡したもぎこちなかった。
それでも持てないほど大量に買う人もいて、代わりに商品を持ってあげたり、車まで運んであげたり。売り子としては素人同然だったが、誠意は伝わったようだ。
今回の直売会をプッシュしたひとり、燕市佐渡で米や野菜を作る専業農家の遠藤大輔さん(38)は、東京のイベントの直売に参加したことはあるが、それ以外では直売の経験がない。今回の盛況なようすに「みんなおとなしいけど、それでも買ってくれてありがたい」と喜び、「いつか企業へ出向いて直売できるようになればいい」と期待した。
(佐藤)