新潟県三条市長野地内の守門川をまたぐ中谷橋の架け替え工事が終わって12月16日午後1時に供用を開始した。それに先だってこの日の午前、現地で竣工式が行われ、三条市として合併する前の旧下田村の議会へ陳情を始めてから20年余り、地元が熱望した中谷橋の拡幅改修が実現した。
中谷橋は守門川のほとりに建つ越後長野温泉「嵐渓荘(らんけいそう)」から直線で650メートルほど下流側に架かる。1963年(昭和38)にそれまでの木橋から鋼鉄製の永久橋に架け替えられた。約20メートルの谷をまたぐ短い橋だが地域交通の要で、中谷橋の左岸側に約200年前の寛政年間に建立された庚申塔(こうしんとう)の石碑には「左大谷丸倉、会津八十里」とある。
交通量の増加、大型化、老朽化が進み、幅員が3.4メートルと狭いために交通事故もあり1997年に下田村議会に提出された「中谷橋拡幅改修に伴う陳情書」が採択され、その後も毎年、拡幅要望が行われた。
今回の架け替え工事は2013年に測量、基本設計に着手し、14年に地質調査と詳細設計、15年から16年で用地測量、補償、用地買収、17年から18年にかけて旧橋撤去、仮設工事、本体工事、付帯工事が行われた。事業費は3億0300万円。橋長は21.8メートル、幅員はこれまでの2倍の7メートルになり、楽々と交互通行できるようになった。
竣工式は右岸側に設置したテントで安全祈願祭を行ったあと竣工式でテープカットやくす玉割り、渡り初めなどを行った。今の時期としては珍しい晴れ間が広がり、しばらく前に降った雪が残るところもあった。
工事関係者や地元自治会役員のほかに、近所の人も訪れた。アトラクションではもちつきをしてつきたての紅白もちを振る舞い、万歳三唱も。渡り初めは太鼓をたたきながら参列者で橋を渡り、手づくり感あふれる竣工式だった。
(佐藤)