新潟県燕市でインターンシップを応援する公益社団法人つばめいと(山後春信代表理事)は12月20日、「つばめ産学協創スクエア」でセミナー「第1回日本酒学と日本酒酒器を考える会」を開き、燕市内で酒器の製造などにかかわる経営者など20人が出席して「日本酒学」という新しい分野について学んだ。
講師は新潟大学経済学部経営学科の岸保行准教授。ことし4月に設立された新潟大学日本酒学センターに所属する。日本酒学の開設の経緯やコンセプト、可能性などについて話した。
日本酒学について岸准教授は、これまでの大学の古典的・領域特定型ではなく、対象限定・領域横断潟型の学問で、日本文化や伝統に根ざした日本酒という文化的製品に特化した理論体系を目指し、日本酒の一連の価値の流れの全体像を体系的に理解する。
日本酒学の可能性はとして、日本文化の理解、新潟清酒の伝道者の育成、酒の楽しみ方の教育など幅広く、研究分野として酒器も含まれてくる。
山梨大学ワイン科学研究センターや仏国ボルドー大学ワイン学研究所で先進事例も学んでいる。日本酒は国内での消費量が右肩下がりだが、輸出は逆に右肩上がり。ただ、欧州ではワイングラスで日本酒を飲んでおり、「海外では日本酒をワインの消費スタイルにあわせ込んでいる」と逆にまだまだ日本酒をアピールできる日本酒の文化は多い。
「日本酒から考える地方創世」、「世界でワインに唯一、対抗できるのが日本酒」、「日本酒はモノやコトなどの組み合わせで価値が増す」と岸准教授はさまざまな角度から情報提供した。
このあと交流会に移り、県内の地酒7銘柄をせとものの杯をはじめ、燕市で製造されているステンレス製の杯、チタンの二重構造のタンブラーなどに注ぎ、勉強を兼ねて一杯やりながら交流した。
全2回のセミナーで、次回は2019年1月31日に「日本酒の海外展開とそのグルーバル化」をテーマに開く。
(佐藤)