新潟県の県央地域を拠点とする中学生硬式野球チーム「三条リトルシニアリーグ」は23日、燕三条ワシントンホテルでこの秋のNBPプロ野球ドラフト会議で指名を受けた卒団生2人の祝賀会を開き、悲願のプロ野球選手誕生を関係者で祝った。
ドラフト指名を受けた卒団生は、DeNAから6位指名を受けた三条市出身で新潟アルビレックスBCに所属した知野直人内野手(19)と、オリックスから育成1位指名を受けた燕市出身で新潟医療福祉大の漆原大晟投手(22)。知野選手は16期生、漆原選手は14期生で、1年間だけ三条リトルシニアリーグに同時に在籍した。
祝賀会には来賓や関係者、チームに所属する中学生、保護者など65人が出席。スーツを着て入場するふたりを拍手で迎えた。
来賓の若山裕三条市副市長は、「リトルシニアでの経験、財産を糧にプロ野球の大きな壁を乗り越え、大きく成長していただきたいと願う」とし、ふたりはチームもリーグも違うが、「将来は日本リーグで直接対決ということもファンのひとりとして期待する。ゆくゆくは日本のプロ野球界を背負うような選手に成長してほしい」と述べた。
鈴木力燕市長は、燕市は東京ヤクルトスワローズとコラボレーションしていることから、ヤクルトの小川泰弘投手と山田哲人内野手のサイン色紙を2人プレゼントした。オリックスは前身の近鉄バッファローズのオーナーだった上山善紀が燕市名誉市民で、DeNAのオーナーは新潟市出身。ほかに新潟県から日本文理の鈴木裕太投手がヤクルト6位指名を受けており、3人とも新潟県に縁のあるチームのことから「新潟県民あげてそれぞれ応援したい」と期待を寄せた。
決意表明で漆原選手は、ドラフト会議の日のようすを話し、育成1位に指名されたときは「わたし以上にチームがメイトが喜んでくれた」が、自身は育成指名だったことから「ほっとした気持ちとともに、それを上回る悔しい気持ちがこみ上げてきた」が、大学の監督とオリックスの監督から「その悔しさをばねに、原動力にこれからやっててくれという言葉をいただいた」と今は前向きに受け止めている。
1月8日に入寮し、1月は自主トレ、2月は宮崎キャンプ。そこで「1日でも早く支配下登録を目指して(背番号が)3けたからスタートだが、2けた、1けたを目指せるような選手になれるように1日1日を大切にしながら練習を重ねたい」、「まずは1球から1人の打者、1イニング、2イニング、先発を任されたときに自分のもっている力をすべて最大限に出せれば支配下、一軍登板も無理ではないと思っている」と将来を見据える。
「自信を過信にしないように、あるいていどの自信を胸に刻みながらマウンドに立ち、どんどんバッターを抑えていくという強い気持ちをもちながら投球を続けていきたい」、「育成出身ですごい投手がいると言われるような投手を目指して、ぼくの活躍が三条シニア、新潟県民の皆さまの後押しになるような選手を目指して頑張りたい」と決意を示した。
知野選手は「昔は悪ガキで迷惑しかかけない子だった」と振り返り、「ドラフトに選ばれて今まで周りの人たちの力がなかったら、自分はここまで来れなかったと思うので、自分は恵まれた人間だなと思う」と感謝した。
1月7日に入寮し、8日から新人合同自主トレが始まる。「しっかり新人合同自主トレで自分をアピールして、1試合でも多く自分の試合ができるようにやり、オーナーが新潟出身ということもあり、新潟で試合をすることが多いので、新潟で自分が野球をしている姿を皆さんに見せられるように頑張る」と誓った。
三条リトルシニアリーグは、ことしの中学1年生で23期生になる。最盛期は団員40人近くを数えたが、ここ数年で急速に減り、今は3年生6人、2年生3人、1年生1人にとどまり、ほかのチームと合同チームをつくらないと試合に出られない状況。悲願のプロ野球入りを果たした2人の卒団生が地元の野球人気の復活の救世主となることにも大きな期待を寄せている。