燕三条発の家電ブランドとして成長を続けるツインバード工業株式会社(野水重明社長・本社燕市吉田西太田)は10日、燕三条ワシントンホテルで恒例の新春賀詞交歓会を開き、取引先や協力会社の163社から238人が出席。野水社長はことしのえとにかけて「“イ(亥)ノベーション”を起こす」とさらなら技術革新の追求を誓った。
冒頭で野水社長があいさつした。少子高齢化、AIやIoTを中心としたデジタル革命、グローバル化、昨年来の米中貿易摩擦をはじめ世界経済の先行きが不透明なのに加え、ことしは4月の新元号発表、10月に予定されている消費税増税、2020東京五輪・パラリンピックに向けた駆け込み需要とその反動が予想されると、野水社長は外部環境の変化にふれ、「過去の延長線上にもう未来はないと腹をくくったうえで、足元の短期的な目線ではなく、中長期的な目線で戦略を考え、実行する必要がある。変化の本質をとらえて身の丈の範疇ではあるが、リスクをとって大きく変化をしていく、そんな年にしたい」との考えを示した。
そこで今年度は、「お客さま視点で考え、革新的な製品やサービスを提供し続けられる企業に変革したい」とテーマを掲げた。国内でのブランディングとダイレクトマーケティングで成長原資を確保しながら海外事業の推進、スターリングクーラー事業を推進する。不確実さが強まる2020年以降を見据えて「ビジネスモデルを組み換え、中長期的に大きく成長を加速するための大胆な異次元の積極的な投資フェーズにする」と宣言。経営経営に理念に沿って「商品開発型企業として皆さまのお力添えをいただき、お客さまに寄り添い、革新的な製品やサービスを提供し続けていきたい」とした。
具体的には昨年10月に発売した「全自動コーヒメーカー」は世界一おいしい究極の一杯が楽しめる「燕三条地域の最高の技術が結集した高付加価値型の製品」と誇った。ライフスタイル情報サイト「All About」のことし最も輝いたコーヒーメーカーとして「家電アワード2018」を受賞。年末商戦では全国1000店舗の家電量販店や燕市のふるさと納税の返礼品としても好評で、小売価格約4万円ながら2カ月で5千台、約2億円を売り上げた。
日本経済新聞のコーヒーメーカーの紹介記事では、超大手家電メーカーと比べてもいちばんおいしいと5つ星の評価を得た。若手社員の新しいアイデアでクラウドファンディングや感動プロジェクトと呼ぶ試飲会、イベント開催なども継続し、全社あげて広報PR販売活動に力を入れている。
昨年、鈴木力燕市長の旗振りで日曜劇場「下町ロケット」の大型ロケが燕市で行われて盛り上がり、撮影では同社も駐車場の提供や協賛で協力した。「下町ロケット」に描かれたものづくりに対する熱意、実行力、完遂力は「まさに、燕三条の企業の皆さま、そのもの」。同社でも「リアル下町ロケット話」としてうれしいニュースがあった。
同社は世界初の画期的な冷凍技術、スターリングクーラーに投資を続け事業拡大を進め、今も2つの製品が宇宙で稼働している。昨年9月にはJAXAのオープンイノベーションハブ研究にスターリングクーラー事業の提案が採択され、年末から共同研究を開始し、小型化に向けて性能と信頼性を高めている。「燕三条地域の金属加工を中心としたものづくりを生かして世の中にイノベーションを起こしたいと考えている」。昨年末は経済産業省から地域の特性を生かして高付加価値を創出する企業「地域未来牽引企業」に追加選定された。
ことしは、いのしし年。「猪突猛進の言葉が示す通り、目標に向かってみんなでわいわいと言いながら困難を乗り越え、イノシシですから、まさに“イ(亥)ノベーション”を起こすことで皆さまともに実り多く素晴らしい1年にしたい」と出席者に絶大な支援を求め、あいさつを締めくくった。
担当者から全自動コーヒメーカーに関するプレゼンテーションもあり、会場入り口前では全自動コーヒメーカーの試飲をはじめ、同社の新製品の展示も行ってアピールした。
(佐藤)