1月26日の「文化財防火デー」にちなんで23日、新潟県三条市神明町、安養院(米田聡芳住職)で防災訓練が行われた。
1949年に法隆寺金堂で火災が発生したのを契機に文化財を災害から守り、文化財愛護思想の高揚を図ろうと翌50年に「文化財防火デー」が制定された。それにちなんで三条市でも毎年、文化財を保存する施設で防災訓練を行っている。
訓練は本堂での出火を想定。米田住職が火災に気づき、初期消火を試みるも消火に失敗し、通報するとともに本堂にいる人を避難誘導し、重要品を持ち出したあと、到着した消防車が放水を行った。
1年で最も寒さが厳しいこの時期にしては珍しく雪ではなく冷たい雨にぬれての訓練となった。安養院での防災訓練は初めてで、安養院が安置する木造十一面観音菩薩立像は2013年に三条市指定有形文化財に指定されている。
米田住職は、安養院は何度も火事に遭い、最後に火事に遭ったのは明治13年(1880)の三条大火、通称糸屋万平火事で、そのときに寺は全焼したが、木造十一面観音菩薩立像は残ったことを話し、「ということは当時の住職が命からがら持ち出したものだと思う」。「わたしの代でこの文化財を燃やしてしまうことがないようにしたい」と気を引き締めた。
(佐藤)