2018年秋に英国ロンドンのジャパン・ハウス・ロンドンで開かれた「燕三条 工場の祭典」の企画展を鑑賞したロンドンにある国立美術大学「Royal College of Art(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)」大学院の院生と先生が1月28、29の2日間、新潟県の燕三条地域を視察した。
企画展の展示作品が生まれた生産現場を見学したいと訪日したもので、同大学院建築学部の先生3人とそれぞれの研究室の院生9人が訪れた。28日は三条市のシンワ測定、弥彦村の弥彦神社、燕市の山崎研磨工業、大泉物産、玉川堂、29日は三条市の小由製作所、加茂市の大湊文吉商店、三条市の三条鍛冶道場、マルト長谷川工作所、日野浦刃物工房などを視察し、職人と交流を深めた。
マルト長谷川工作所(長谷川直哉社長・三条市土場)では、ニッパーを中心に生産する同社の概要を聞いてから製造工程の順を追って工場内を見学。巨大なエアースタンプハンマーが放つ体で感じるほど大きな音に首をすくめ、焼き入れの効果を実際に手にとって実感し、ニッパーの刃先のすき間がないことを光にかざして確かめた。
見学後、院生は「これからどいういうデザインを増やしたいか?」、「製品チェックはどんなテストをしているか?」など次々と質問があった。なぜニッパーだけ作っているのかという質問に長谷川社長は「いい質問」と喜び、「世界中の工具メーカーはフルレンジで作業工具を作っているが、この地域の多くは単品で頂点を目指している」、それは選択と集中により「単品なら世界でいちばんいいものを作れる自信があるから」などと答えていた。
(佐藤)