新潟県十日町市出身で長岡市に住む染色作家、村山雨景(うけい)さん(71)の弥彦の丘美術館での初めての作品展「染め絵の世界 四季の越後路ー染色紀行展ー」が2月16日(土)から3月21日(木・祝)まで開かれている。
村山雨景さんは15歳から両親に手織、染色を学び20歳のころ京都へ修行に出て日本画と手描き本友禅と手描きロウケツ染めを習得して帰郷した。
1976年の第18回美匠展に初入選したのを皮切りに同展で以後、奨励賞や特別賞を受賞し、国内外で取材したり個展を開いたりと活躍した。2017年は十日町市で「夢のふるさと展」、18年は長岡美術センターで創作55周年記念展「巨大美の世界」と大きな個展を成功させている。
今回は弥彦の丘美術館の五十嵐敬吾館長が「今までつくったもののなかで最も心に残っているもの、どうしても展示したいと思っているもの、珠玉の宝物の作品を、えりすぐりの作品を展示してほしい」と村山雨景さんにリクエスト。「最高の状態でここで見てもらえる」と村山雨景さんに感謝した。
展示作品は平面作品と着物の14点。ハイライトは昨年の「巨大美の世界」で公開した「越後三山」。2×13メートルのまさに巨大な作品で、弥彦の丘美術館の壁面にあつらえたようにぴったりと収まった。まるで壁画のようで、魚沼地方にそびえる冠雪した八海山、越後駒ヶ岳、中ノ岳の連山が眼前にパノラマのように広がる雄大な作品だ。
18年前に制作したがすぐに中断し、昨年、制作を再開して完成させた。制作期間は都合6カ月ほどだが、大きな生地は京都に発注して1年待ってようやく届いた。村山雨景さんは「幻想の世界ではあるが、魚沼スカイラインから全景を見たときに、川口から湯沢の方までの山並みをわたし流にろうで染め上げた」と解説。作品に施した技術の習得は「経験と勘が30年は必要」と言う。
この作品が弥彦の丘美術館に展示されたことを「こんなに似合う場所はない」、「この作品はここで飾られるのを望んでいたのでしょう」と喜んだ。
2008年に創作45周年記念作品として制作した創作着物「雪の華」を新潟出身の演歌歌手、小林幸子さんに贈呈した。その2枚目として同じようなものとして制作した「古志の里に灯りは灯る」を展示。弥彦の丘美術館の正面に広がる秋の弥彦山をれんが色に染め、弥彦神社の屋根とその上を舞うサギを描いた「弥彦燃ゆ」も展示している。
16日午前10時から会場でオープニングセレモニーを行い、村山雨景さんが作品解説を行って開幕した。村山雨景さんは「これを糧にして、力のある限りこれからもやれるだけ人にはできない自分だけの世界をつくりあげていきたい」と力を込めた。
2月23日(土)、3月3日(日)、10日(日)のいずれも午後2時から村山雨景さんが作品解説を行う。会期中は無休で午前9時から午後4時半まで開館。入場料は高校生以上300円、小・中学生150円。問い合わせは弥彦の丘美術館(電話:0256-94-3131)へ。
(佐藤)