「盲導犬普及キャラバン」が19日、三条市の国定勇人市長を表敬訪問した。市内唯一の盲導犬「ルディ」とユーザーの暮らしなどから盲導犬について話し、盲導犬の育成と普及に向けた活動への理解と協力を呼びかけた。
午後2時に、盲導犬ユーザーの今井春夫さん=三条市上保内=と盲導犬のルディ(3才)、東北6県と新潟県を管轄する日本盲導犬協会仙台訓練センター=宮城県仙台市=の根本学センター長と普及推進部の奥沢優花さんが市長室を訪れた。
ルディは、黒いラブラドール・レトリバーのオス。盲導犬として1才でデビュー。2017年9月から今井さんと共同訓練を始め、今井さんのパートナーとなった。今井さんをサポートするルディの背中には、今井さんとつながるためのハーネス(胴輪)と「仕事中」と書かれた黄色い小さなバックを背負っている。
盲導犬は、目の見えない人や見えにくい人が、行きたい場所へ出かけられるように、障害物を避けたり、段差や角を教えるなど、安全に歩くための手伝いをしており、その数は全国で940頭余り。新潟県内は32頭がおり、三条市で活動する盲導犬は現在、ルディ1頭だ。
また、聴導犬、介助犬とともに特別な訓練を受けた「ほじょ犬(身体障害者補助犬)」として位置づけられている。身体障害者補助犬法によって、ハーネスを付けた盲導犬はユーザーといっしょに公共施設や交通機関をはじめ、飲食店やスーパーなど、人が立ち入ることのできるさまざまな場所で受け入れるよう義務付けられている。
市長室でのルディは、今井さんを市長の隣のイスに案内したあと、イスの脇に伏せ、静かでリラックスした様子。大きな笑い声や取材のために向けられたカメラにも驚いたり、吠えたりすることもない。
ハーネスや表示を付けているとき、盲導犬は仕事中で、ユーザーが安全に歩くために仕事中の盲導犬に対しての注意点がある。「声をかけたり、じっと前から見たり、口笛を鳴らしたりしない」、「食べ物を見せたり、あげたりしない」、「盲導犬をなでたり、ハーネスを触ったりしない」、「自分のペットとあいさつさせようと近づいたりしない」など、まずはそっと見守ってほしいということ。しかし、困っているようであれば手伝いをお願いしたいとしており、そのときは「何か手伝いましょうか」と、ユーザーに声をかけてみるよう求めている。
犬を飼っていたことがあるという国定市長は、キャラバン隊が市長室に入ると、ルディを撫でて歓迎したが、仕事中の盲導犬への注意点を聞き、「しちゃだめなことを全部してしまいましたね」と詫び、ユーザーが排泄もコントロールできるなど訓練や管理の内容に驚いたり、「ほじょ犬」の受入れが医療機関でも断られることがあるという現状も聴き、盲導犬への理解を深めていた。
最後に、今井さんがルディのハーネスをはずして「仕事中」解除のサインを出して国定市長にさわってもらうと、お腹を見せて甘えるルディ。退出時は、再びハーネスを着けて今井さんをリードしていく姿を見送る市長は「すごいな」と感心。「イヌたちはしっかりと切り替えができるんです」と根本センター長は話していた。
同キャラバンは、20日に井栗小学校と嵐南小学校、21日に裏館小学校を訪問する。
(坂井)