世界に知られる金属洋食器の産地の新潟県燕市と日本金属洋食器工業組合(理事長・捧和雄燕物産社長)は、スクラムを組んで2020東京五輪・パラリンピックの選手村をはじめ世界的なイベントでの採用を目指してオリジナルカトラリーの製品化を進めており、そのデザインを2月26日、発表した。
オリジナルカトラリーは、スプーン、フォーク、ナイフの3点セット。決定したデザインは、ステンレス製でミラー仕上げ。横から見たスプーンの柄の曲線は、日本の象徴で新潟県の鳥のトキのくちばしを横から見た形をイメージした。
柄の表は、広げたトキの翼の羽が描く模様、裏は日本をイメージするサクラの花をデザインし、「18-8 Made in TSUBAME」と刻印する。一般販売価格や名称はまだ決まっていないが、家庭用ではなく高級なカトラリーになる。製品化したら燕製品であることを証明する「メイド・イン・ツバメ」の認証なども受ける考えだ。
燕ブランドを世界に発信し、燕製品の魅力や技術力の高さをPRしようと燕製オリジナルカトラリーの製品化に取り組む。2018年にデザインを募集し、日本金属洋食器工業組合も加盟する6社から10点の応募があった。
燕市を訪れたリオ五輪4×100mリレー銀メダリストの飯塚翔太さん、パラパワーリフティングで全日本選手権優勝の山本恵理さん、世界的イベントを想定して集団調理業務に携わる業者、長岡造形大学の先生と学生など136人から審査してもらい、意見を聞いてデザインを決めた。
3月下旬までに試作品を完成させ、量産化のため4月から5,000万円を目標に製作資金調達に取り組み、ふるさと納税による資金調達も行う一方、売り込みも行ってオールジャパンで世界的なイベントを応援する。組合加盟企業で金型を共有して量産する。
審査した人からは「外国人にも使いやすく日本らしい」、「流線的なデザインが優しそう」、「技術の高さをアピールできそう」、「桜模様がかわいい」などの声があった。
決定したデザインは26日、記者会見を行って発表した。鈴木市長は「あらためて外国の食文化の道具に日本らしさを組み込んだ新しいデザインと100年培ってきた技術をもって作って打ち出していく」と話した。捧理事長は先にドイツで開かれたアンビエンテに組合として出展した経験からも「あらためて燕のものづくり、職人技、品質、技術が見直されるようにここ数年変わってきている」とし、「メードインジャパンが見直されているなかで燕のオリジナルを発信していく、まさにこれは時機を、当を得た商品」と期待した。
(佐藤)