スノーボードのハーフパイプで小学校3年生ながらユースを卒業して今シーズンからオープンクラスに参戦する新潟県三条市に住む村上広乃輔(こうのすけ)君(9つ)は、5月にPSA ASIA(プロスノーボーダーズ アソシエイション アジア)からプロ認定されることが決まった。これまでの10歳の記録を破る国内史上最年少の9歳のプロスノーボーダーが誕生することになった。
今シーズンのすべり
広乃輔君は3月1日に長野県・X-JAM高井富士で開かれたPSA ASIA公認のプロツアー「フリースタイル セッション」に出場。プロも10人ほど出場したなか、8位以上ならプロ認定の資格を得るところ、広乃輔君は見事7位となった。
もっとも、この大会と関係なくプロ認定は確実だった。JSBA(日本スノーボード協会)の主催大会などの結果によるポイントランキングが8位以上でもプロ認定されるが、これまで2位につけており、3月1日の大会は腕試しのつもりで出場した。3月5日に南魚沼市・石打丸山スキー場で行われたJSBA全日本スノーボード選手権大会で5位に入った結果、ランキングでもプロ認定が確定。正式なプロ認定はシーズンオフに入った5月になる。
広乃輔君は父の会社員村上幸二さん(40)のひとり息子で、三条市立西鱈田小学校の3年生。幸二さんの影響で3歳からスノーボードを始め、年長児で上越国際ジュニアスノーボードクラブに所属。7歳になった2016年、続く17年と新潟県スキー連盟強化指定選手に認定された。
昨シーズンは全日本スノーボード選手権大会の14歳以下が対象の「ユース男子」で史上最年少の8歳で優勝。今シーズンは年齢制限のないオープンクラスでおとなに混じって戦っている。
昨年11月の三条市表彰式では、史上最年少で表彰を受けた。さんじょう一番星育成事業の助成を受け、今シーズンに向けて冬休みにかけて1カ月間、米国・コロラドのハーフパイプでトレーニングを積んだ。
さんじょう一番星育成事業では、最年少でのプロ認定と、全日本スキー連盟主催のジュニア五輪での優勝を目的として申請した。宣言通り2月21日に行われたジュニア五輪で優勝し、目的を2つとも達成。幸二さんは約束を果たせたことを喜び、三条市の支援に感謝している。
今シーズンは、フロントサイド720、キャブ720、フロンドサイド540、バックサイド540という構成で押してきた。2月19日の関東地区の大会では雨で前が見えずに転倒し、悔し涙を流したこともあるが、周囲も驚くほど緊張しない。プロ認定を決めて幸二さんからほうびにゲームソフトを買ってもらって「うれしい」と無邪気に答える小学校3年生だ。
次の夢は「ナショナルチームに入ること」と広乃輔君。ナショナルチームに入るには小学校5年生以上でなければならない。ナショナルチームに入れば海外遠征に行ける。
全国で約370人がプロ登録している。プロになれば大会で上位入賞で賞金がもらえるが、実際にスノーボードだけで食べているのは、ほんのひと握り。広乃輔君はスノーボードのブランド「ノベンバー」のサポートを受け、地元三条市のアウトドアブランド「キャプテンスタッグ」のアンバサダーに就任しているものの、車中泊で転戦を続けるシーズン中は経済的にも厳しい。
幸二さんは「ぜひ地元の企業からもサポートしてほしい」と願うとともに、「スノーボードはまだまだマイナースポーツ。子どもでもおとなのなかに入って勝つことができるスポーツで、どんどん広まってほしい」と願う。
移動が大変なため今シーズンはPSA AISAの公認大会にしぼって出場したが、来シーズンは北海道で開催されるSAJ(全日本スキー連盟)主催の大会を中心に出場する考えだ。
(佐藤)