「最もチケットが取れない落語家」と言われる立川談春さんの独演会が3月31日、燕市文化会館で開かれた。TBS日曜劇場「下町ロケット」の大規模ロケが燕市で行われた縁があったからこそ実現した燕市での独演会。チケットは発売初日で完売する人気で、当日も653人が来場して当代一流の落語を時間を忘れて楽しんだ。
談春さんは2018年10月から19年1月にかけて放送された「下町ロケット」に前シリーズに続いて佃製作所の殿村部長役で出演し、燕市でのロケにも何度も参加した。近年、毎年のように新潟市で談春さんの独演会が開かれている。燕市文化会館でも毎年のように自主事業で落語会を開いているが、燕市文化会館を含め燕市で談春が高座にのぼったのは今回が初めてだった。
チケット発売日の1月28日は、燕市総合文化センターで約100人が行列をつくり、行列が途切れないまま完売する人気ぶり。燕市の落語ファンには地元で談春さんの落語が聞ける貴重な機会となった。
出ばやしとともに談春さんが舞台へ。燕市のロケで見た談春さんは、農作業着を着ていることが多かったが、高座ではもちろん和服。落語は金屏風を背負うことが多いが、談春さんは背中に白い屏風を立て、休憩をはさんで「真田小僧(さなだこぞう)」と師匠の談志も得意とした「鼠穴(ねずみあな)」の古典落語2席を披露した。
「真田小僧」に続いて休憩に入る前に「下町ロケット」の撮影裏話を披露した。談春さんは「燕市の協力がなければできなかったドラマ」と鈴木力市長をはじめ、早朝から交通整理をしてくれた市職員や食事を用意してくれた市民に感謝した。「下町ロケットが救われたっていうか、ありがたいっていうのは本当に食べ物が良かった」、1日4時間しか睡眠がとれず、遊べないなかで「食べることで人ってこんなに元気になるのかと思った」と、食事のもてなしを喜んだ。
軽妙な話術に観客は時間を忘れて楽しんだ。「鼠穴」を終わって舞台袖に戻る途中に談春さんは観客と一緒に三本締めをし、「また燕市でやりたい」と地元の落語ファンにはうれしい言葉を残してくれた。
(佐藤)