新潟県弥彦村で春の観光のシーズンインを告げる「湯かけまつり」が4月14日、行われた。汗ばむほどの陽気のなか、沿道に満開のサクラが並ぶ弥彦温泉街を舞台に、一般の人も参加して威勢のいいかけ声とともに湯曳き車の綱を引いた。
午前は弥彦山の山開き、午後から湯かけまつりとセットで毎年恒例の春を告げる行事。湯かけまつりは、湯曳き車に乗せたたるを湯神社(石薬師)からくんだ神湯で満たし、弥彦駅前から弥彦神社へ向かった。
湯曳き車を運営するのは、弥彦神社氏子青年会。ことしは2人目の女性会長、早福百合さん(38)が新会長に就き、湯曳き車の先頭に立って陣頭指揮をとり、弥彦駅前で木やりを歌ってから出発した。
コール&レスポンスのような「えんやー!」のかけ声をペースメーカーに、湯曳き車の前後にある綱を引いて進む。湯曳き車の上からはひしゃくで神湯をまき、白丁を着た氏子青年会会員は、神湯を含ませた青笹を沿道の見物客に頭から払いかけた。神湯は厄除開運、無病息災、学業成就などのご利益があるとされる。
湯曳き車の後ろで後綱を引く氏子青年会会員はたびたび進行方向と逆に綱を引いていたずらし、前綱を引く一般参加者と綱引きのようになって盛り上がった。最後はたるみこしに神湯を移して弥彦神社拝殿前へ駆け上がってたるみこしをもみ、参拝して終わった。
昨年の湯かけまつりは、みぞれまで降る冬に逆戻りしたような荒れた天気だったが、ことしは正反対に初夏を思わせる陽気。花見客も多く、湯かけまつりと知らずに弥彦を訪れた人も参加して弥彦の春の名物行事を体を使って楽しんでいた。
(佐藤)