大河津分水さくら公園に会場を移し、ハーフマラソンを新設して生まれ変わった燕市のマラソン大会「燕さくらマラソン大会」が4月20日開かれた。北海道から沖縄まで全国25都道府県から1,719人がエントリー。昨年の約700人から約2.5倍に大きく規模が拡大した。桜と菜の花が咲き、絶好の青空に恵まれて世界記録が誕生するおまけまでついて記憶にも記録にも残る言うことなしの大会だった。
「燕マラソン大会」の名称でスポーツランド燕を会場に毎年開いてきた大会をことしは第30回の記念大会でもあり、大幅に刷新した。翌21日に分水おいらん道中の会場にもなる大河津分水さくら公園に会場を移した。ハーフマラソンを新設したことで、参加者が一挙に膨らんだ。
1,719人の地域別の内訳は、燕市内610人、燕市を除く県内850人、県外259人。市内が3分の1ちょっとを占め、県内は津南町と粟島浦村を除く28市町村からエントリーがあった。県外の都道府県別では東京都の60人が最多だった。
桜と菜の花に風薫る文句なしのコンディション
大河津分水路の桜並木は「日本さくら名所100選」に選ばれたサクラの名所。この日は落花盛んだったががまだまだ花が残り、地元の大河津建設が公園と周辺に社会貢献として植えたアブラナの黄色い花とともに目を見張る美しさ。走る前から気持ちが高揚した。
競技は2km、3km、10km、ハーフマラソン、ウォーキング3.5kmの5種目。それぞれスタート前に、燕市吉田地区出身で五輪3大会に出場した日本男子マラソンの名選手の宇佐美彰朗さん(75)や鈴木力市長があいさつし、号砲とともに火ぶたを切り、風薫る陽気のなかを快走した。
宇佐美さんは昨年、この大会のPRアンバサダーに就任した。宇佐美さんは選手たちに最初から全力を出さずに力を押さえてスタートし、最後に百パーセントの力が出せるような走りをするよう呼びかけた。また、「せっかくの舞台が準備されたから、楽しい、良かったという思いでゴールしていただきたい。苦しい思いでゴールしないでほしい」とも宇佐美さんらしいランニング哲学も話していた。
宇佐美さんからのアドバイスで、東京から当日朝の新幹線で間に合うようにハーフマラソンのスタート時刻を午前10時に設定。東京から日帰りできるハーフマラソンも“売り”にした。東京の宇佐美さんのランニングクラブ「宇佐美ランニングクラブ」からも21人がまとまって参加した。
宇佐美RCの中野陽子さんがハーフマラソンW80で世界記録
世界記録を出したのは、ハーフマラソンに出場した宇佐美ランナーズクラブに所属する東京都大田区の中野陽子さん(83)。マスターズ陸上のハーフマラソンの女子80歳から84歳までのクラス「W80」の世界記録は2017年11月現在でカナダのBetty Jean McHughさんが2008年に出した2時間4分19秒のようで、いずれにしろ2時間を切っていないと言う。
中野さんのタイムは2時間を切る1時間57分11秒で、ネットでは1時間56分39秒と、大幅に世界記録を短縮した。女子60歳以上の部門で2位になり、表彰式では中野さんに用意された賞品のほかに世界記録樹立を記念してミズノからシューズが贈られた。
中野さんは以前はスキーをたしなんでいたが、費用がかさむこともあり70歳でランナーに転向。6年ほど前にニューヨークマラソン、2年前にボストンマラソンに出場するなど海外へも転戦するほど魅力にとりつかれている。今回の大会では「世界記録をねらってました」と、してやったりの満面の笑顔だった。
大会最初のゴールは福島県南相馬市の小元健さん
この大会で最初にゴールしたのは、3km男子高校生〜39歳で優勝したあぶくま信用金庫で働く福島県南相馬市の小元健さん(25)。父が指導するクラブチームの小学生がこの大会に出場するため、応援を兼ねて出場した。「いちばん最初の種目でいちばん最初にゴールして、すごい気持ちよかった。沿道の人もすごく応援してくれて楽しく走れた」と話した。
ハーフマラソン男子の一般トップは本間峻太さん
ハーフマラソン男子39歳以下は、招待選手の重川材木店(新潟市西蒲区)所属選手の木部誠人選さんがゴール後も余力を残して貫録の優勝だったが、一般のトップはそれに次いでゴールした協栄信用組合吉田支店で働き新潟市西蒲区に住む本間峻太さん(25)。これまでの燕マラソン大会にも毎年、出場してきた。
木部さんとは日ごろから一緒に練習する仲で、木部さんの1時間11分56分から1分近く遅れて1時間12分50秒でゴール。「(木部さんに)格の違いを見せつけられた」と苦笑いし、「実際、景色を見る余裕はなかったが平坦で走りやすかった」とレースを振り返った。
足指を疲労骨折しながら10km女子2位の蓑口めぐみさん
昨年の三条市で開かれた「粟ヶ岳バーティカルキロメーター」に練習も準備もなく出場して女子3位になった燕市の会社員蓑口めぐみさん(25)は、招待選手として10kmに出場した。足の指を疲労骨折しているため、「スマホを撮影しながら楽しんで走ろうと思います」と言いながら結果は女子高校生〜39歳で2位。相変わらずの鉄人ぶりを発揮し、自分で結果に驚いていた。
ゴールしたランナーにもとまちきゅうりのレモネード
また、燕市吉田本町で生産される春キュウリ「もとまちきゅうり」のブランド化と普及を推進する「もとまちきゅうり普及委員会」(委員長・森山史朗委員長)は、もとまちきゅうりのスライスを入れたレモネード1,500杯をゴールした選手に提供して好評だった。