21日投開票が行われた加茂市長選は、元市議で新人の藤田明美氏(48)が7選を目指した現職の小池清彦氏(82)に競り勝って初当選した。
藤田氏8,650票、小池氏7,388票。当初は現職有利という声が多かったが、選挙戦が進むにつれて藤田氏が追い上げているという見方が強まり、投票日直前には互角、あるいは藤田氏が逆転したという声も聞かれるようになった。
午前10時過ぎの中間発表で藤田陣営は割れんばかりの歓声でわいた。藤田氏は「皆さんおひとりおひとりが懸命になって支援を広げてくださったおかげ」、「私ひとりではなにもできなかった。こうやってすてきな方が集まってくださったので絶対、勝てると信じていた」と支援に感謝した。
加茂市民が本当に加茂市のことを考えた結果
「加茂市民が本当に加茂市のことを考えてくださった結果がきょうのわたくしの勝利」とし、「選挙期間中に訴えてきた通り、私は自分の身を削って加茂市民の皆さまと一緒に新しい加茂市をつくっていくように努力してまいる。ぜひこれからもどうか皆さま、お力をお貸しください」と述べた。
さらに質問に答えて藤田氏は「多くの皆さまの声に応えたかった。今はほっとしている」と表情を緩ませた。小池市政を変えたいと思いながら藤田氏に任せていいか迷っている人が多いことを感じ、選挙戦では「藤田で大丈夫なんだと思ってもらえるような選挙戦ができないと負けると思っていた」。自身ができることを強く訴え、加茂市の課題をたくさん訴え、「それに気づいた方が加茂市を変えなければいけないなと思ってくれた」と勝因を分析した。
中学運動部は以前の状態に 財政調整基金の不足にふるさと納税を
加茂市が抱える課題は多いが、今すぐ解決できるのは、まずにすぐに取り組む。小池氏が夏休みの中学運動部を中止したことについては、「話し合いながらだが、前の状態に近い状態に戻して練習したい生徒が練習でできる時間をちゃんと確保する」。財政調整基金が少ないことについては「即効性があるのはふるさと納税に力を入れること」や「無駄があるところの削減」で、「それは私の独断で決めるのではなく、なるべく市民のみなさんの広く意見を聞いていきたい」。
また、「加茂市は日本一の福祉の町と言われてきたが、それはそれで残しつつももっとバランスよく、どの世代も幸せにできる加茂市になっていくかなと思う」。
選挙戦を振り返って「現職が相手なので応援したいけれども応援できないと言う声をたくさんいただいた。私はその人の声を信じるしかないので水面下で応援してくれてる人が多いと信じるしかなかった」。「周りの評価は五分五分か負けると常に言われていた」厳しい選挙戦だったが、「勝てると思ったのが選挙戦に入って日々、応援してくださる方が増えていったこと」で勝利に確信がもてるようになったことなどを話した。
小池氏「市民の皆さんの判断」と潔く
一方、小池氏は「市民の皆さんの判断ですので」と第1回目の開票結果のあと、敗戦の弁を述べた。
加茂市秋房の割烹で、支援者らとともに開票結果を待った小池氏は、午後10時6分、開票の結果を受けて自らが結果を報告すると、会場からは「うわ〜」とため息がもれ、うなだれて涙を流す人もいた。
小池氏は、いつもと変わらない淡々とした口調で、「このたびは当選できなかったわけで」と始め、「市民の皆さまの考えなので、私はもう何も申し上げることはない」とし、笑顔も見せて支持者に感謝した。
それにもかかわらず、「こういう結果になって本当に申し訳ない。深くおわび申し上げる」、「以上でございます。どうもすみませんでした」と繰り返しわびた。
加茂の市政は日本のトップクラス、これを落とさないように
報道関係者からの質問に今回の結果は「市民の皆さまの判断」、「私としては精いっぱい市民の皆さまお一人おひとりのお幸せのために死に物狂いできょうまでやってきた」と自負も示した。
藤田氏へのメッセージとして「加茂の市政は日本のトップクラスの市政。これを落とさないように頑張っていただきたい」とし、敗因は「よくわからないが、やはり多選ということではないか」。
老兵は死なずただ消え去るのみ
やり残したことについての質問には、「ありますが、審判が出た以上は静かに去るということ」で、「きざな言葉」と前置きしてマッカーサーの「老兵は死なずただ消え去るのみ」という言葉を引用しながらも「まだ体力はあるので、老兵ではございませんが」と意気軒昂だった。支援者一人ひとりと握手をして詫びと礼を述べて会場をあとにした。
国定三条市長のコメント
国定勇人三条市長はケンオー・ドットコムの求めに対し加茂市長選の結果についてコメントした。コメントは次の通り。
「共存共栄が大事だと思っております。この地域の発展のため、虚心坦懐(きょしんたんかい)に話し合いを進めてまいる所存です。」