桜の菜の花が彩る分水おいらん道中 遺影を飾って亡き妻と見物する人も (2019.4.23)

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新潟県燕市分水地区で4月21日、ことしもサクラの咲くころにあわせておいらん役を主役に据えた行列が練り歩く「分水おいらん道中」が行われ、豪華な花絵巻が披露された。

大河津分水路の桜土手を進む分水おいらん道中
大河津分水路の桜土手を進む分水おいらん道中

ことしで第77回になる伝統行事。おいらん役は公募して選ばれた分水地区出身で東京に住む阿部由香さん(31)が桜太夫、神奈川県出身で燕市へ移住した南山陽子さん(26)が分水太夫、分水地区出身で新潟市に住む斉藤若菜さん(22)が信濃太夫を務め、約60人で編成する行列を従えて正午から地蔵堂本町通り、午後2時から大河津分水路右岸の桜土手を歩いた。

雨が降りそうな空模様だったが、雨は降らず曇り空。前日は快晴で初夏を思わせる陽気で花見など行楽に出掛けてこの日は外出を控えた人が多かったのか、人出はやや少なめだった。「昔はものすごい人だったから、ちょっと寂しい」と話す関係者もいた。それでも昨年は雨で屋内開催だったのと比べれば、外でできるだけでありがたい。

おいらん役の3人
おいらん役の3人

桜土手のサクラ並木は花の盛りを過ぎて半分以上も花を散らしたが、何とかサクラが咲いていると言えるていどに花が残った。ことし初めて地元の大河津建設が桜土手や隣接する分水さくら公園で栽培したアブラナがまぶしいほどの黄色の花を咲かせ、サクラの花とのコントラストがこれまでにない華やかさを演出し、行列を引き立てた。

かつらが重くて頭をきつく締め付けたせいか、信濃太夫は出発前から具合が悪くなり、出発が危ぶまれた。2会場とも途中でリタイアしたものの、頑張って2会場とも出発はできた。

おいらん道中の子どもたち
おいらん道中の子どもたち

ただ歩くだけではなく、所々で行列を止め、足をゆっくりと外へ振り出し、高げたを寝かせて足を前へ運ぶ「外八文字」と呼ばれる歩き方を披露すると沿道から大きな拍手がわいていた。

大河津分水路の堤防で女性の写真をはさんだ写真立てが行列に向けて置いてあった。新潟市西蒲区の85歳の男性が、ことし2月に亡くなった82歳の妻の写真を入れていた。

おいらん変身コーナーでおいらんの扮そう
おいらん変身コーナーでおいらんの扮そう

「農家やってたんだろもね。ちょうどハウスの時期で、ここ来らんねかったんだ。それで見たい、見たい、言ってたんろも、ちょうど見らんのて、2月に亡くなってね。じゃあ俺、写真持ってって、見せるおや言うて」。

桜と菜の花がおいらん道中を彩る
桜と菜の花がおいらん道中を彩る

「ことし行がれっかなと思ってそう言ったったろも、だめらった。入退院してて。じゃあ、俺がこれたがいて(持って)、おーせー家族に話してね、21日の日においらん道中だから、まあ、俺、一緒に行ってくるお、言うて」。初めて夫婦で見るおいらん道中に目を細めていた。

(佐藤)


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