ことし初めての夏日を2日連続で記録した23、24日の三条市では、果樹地帯の大島地区で白い花を開いた洋ナシ「ル レクチエ」の授粉作業が一斉に行われた。
23日は27.4度、24日は25.2度と真夏と変わらない気温となった両日。県内有数の果樹産地、同市大島地区ではピンク色のモモの花に加えて、白いナシの花も次々と開花。
新潟の冬の味覚の代表格「ル レクチエ」も一気に開花を進め、授粉の適期を迎えた。天気予報では、25日から雨予報だったことから大島地区の「ルレクチエ」の畑では、人工授粉の作業をする光景があちこちで見られた。
同地区の渡辺果樹園(三条市代官島)でも、両日とも家族、スタッフ、アルバイト、ボランティアを総動員し、約55アールの畑の授粉作業を行った。同農園では「ミツバチ隊」の愛称をつけている。
24日は、「ミツバチ隊」総勢18人での作業。畑では、160センチほどの高さにある棚を這うように「ル レクチエ」が枝を伸ばし、白い花が一面に開いている。その下を歩きながら、「梵天(ぼんてん)」と呼ぶ昔ながらの耳かきの反対側についているようなふわふわした毛で、首から下げた入れ物から和ナシ「新興」の花粉を取り、花のめしべをめがけてポンポンとつけていく。広い畑を一日中歩き回っての作業だ。
園主の渡辺康弘さんによると、ことしは、4月上旬からの低温と日差しが少なかったことなどから「ル レクチエ」の開花が遅れ、いつもなら開花時期がずれるほかの種類の和ナシもいっしょに咲き始めた。さらにこの2日間を逃すと雨続きで作業ができなくなることから、授粉のタイミングの適期が短い。また、5年ほど前から変化を感じているという求人募集についても、ことしはさらに反応が少なかったと、さまざまな環境の厳しさを話し、「ことしほど大変な年はない」。
それでも2日間の短期決戦を乗りきり、「なんとか作業を終えることができ、安心した」と話していた。
(坂井)