4月21日の新潟県加茂市長選で現職だった小池清彦氏(82)に競り勝って当選した新人で元市議の藤田明美新市長(46)が5月10日、初登庁した。職員に対する訓示でほかの自治体としっかり連携し、市民の声をたくさん聞いて課題に向き合うと述べる一方、さっそくこの日のうちに市内中学校長に対し、夏休みの部活動を休止する方針の保留を通知し、決意を示した。
藤田氏は午前10時に登庁し、正面玄関前や1階ロビーで職員120人のほか、支持者ら50人ほどが出迎えた。前日行われた退庁式で小池前市長は公用車の黒塗りのセダンに乗って自宅へ向かったが、藤田市長は後援会関係者の白いハッチバックセダンに乗って到着した。
新潟県内では2人目の女性市長で、白いジャケットにスカートで、首には花びら染めのピンクのスカーフ。年齢は小池前市長より36歳も若く、何から何まで対照的な藤田市長は、大きな拍手で歓迎され、職員から花束を受け取った。
藤田市長は「皆さまのおかげできょうを迎えることができた」とあいさつを始め、「これから加茂市のために一生懸命、働いていくので、どうぞこれからの加茂市を皆さまで一緒につくっていきましょう。見守ってください」と述べた。
引き続き、約80人の職員を前に訓示。藤田市長は大きく深く息をしてからマイクの前に立ち、「これまでの常識は、常識でなくなるという時が来ること、これまで慣例だったものが勇気をもって新しくしていかなければならなくなる時が来る」ことを覚えておいてほいしと覚悟を求めた。
しかし「加茂市政が否定されることでも壊されることでもない」、「これまで続いてき加茂市政を基に、これから新しい加茂市を築いていく」とし、「私が目指す加茂市の市政は、市民参加型の市政。そして国や県、近隣市町村の皆さんとしっかり連携していく市政」を掲げた。
大きな課題として、財政の健全化、ごみ焼却場の更新やダイオキシンの問題、学校施設の耐震化や部活動の問題、土砂災害警戒区域の指定、応急診療所への対応があり、そのうえに人口減少や少子化の問題があり、「加茂市もこれらの問題から逃げることができません」。
実務経験のない自身にできるのは、「皆さんの実力が十分に発揮できる環境を整えることと、私が最終的な責任をもつ、この2点しかない」。そのために早く部署の再編や人員配置を考えていく。新しいことにたくさんチャレンジし、たくさん失敗するなかで学び、成長していける。
「それが加茂市、加茂市民の皆さまのためになると思っていますし、私自身も本当に皆さんと一緒に学び、成長して加茂市のために役立てるよう、本当に全力で働いていきたいと思っています」と述べ、「どうぞこれから一緒に頑張ってまいりましょう」と求めた。
また、その後の報道関係者の質問に対し、昨年9月13日付けの「加茂市立の各中学校における運動部活動の方針」と「加茂市立の各中学校の運動部活動の休養日における活動の許可の要領」を当分の間、運用を保留するよう、この日のうちに市内各中学校に通知することを明らかにした。
藤田市長が中学校の設置者として通知するもので、この日以降の部活動はスポーツ庁と文化庁が示すガイドライン、新潟県教育委員会が示す方針により各学校長の判断で適切な部活動の運営を求める。
小池清彦前市長が提案した夏休みの運動部部活動の休止をはじめ部活動に伴う負担軽減などを内容とする方針には、とくに部活動に励む中学生をもつ保護者からの反発が大きかった。藤田市長は選挙戦から撤回を主張していた。
財政再建についてはプロジェクトや協議会といった仕組みづくりをして取り組みたいと話した。
(佐藤)