三条傘鉾振興会(井村孝嗣会長)は三条祭りの15日、三条市・八幡宮境内で三条まつり傘鉾コンクールを開き、昨年と同数の7基の傘鉾人形を審査した結果、鍛冶町の「輝け令和 祝い餅!」が最高賞の金賞を受賞した。
ことしは、5月1日に改元された新元号にちなんだ作品をはじめ、東京オリンピック、3月に引退した「イチロー」、海洋プラスチック問題をテーマにした作品が並んだ。
傘鉾人形は、自治会や事業所などの団体が毎年、一般家庭用品や「金物の町三条」にちなんだ金物類をはじめさまざまな日用品を使って世相を風刺した三条ならではの人形を毎年、新たに製作。ざるやかご、すだれ、ビニールホース、お玉や食器洗浄用のスポンジ、洗濯ばさみなどあらゆる素材を組み合わせて、アイデアを形にしており、近年は高さや幅が1メートルを超える大型作品になっている。
午前10時半からのコンクールでは、出品者が順番に作品の解説をしてから5人の審査員が審査。生活上の身の回り品の原型をとどめながら組み合わせていること、時代を風刺したテーマであることなどの観点から審査した得点の合計で、金賞、銀賞、銅賞各1点と佳作4点を決めた。
表彰式では、井村会長がそれぞれの団体に表彰状と賞金を贈り、審査員を代表して梨本次郎三条観光協会会長が、50年近く続く三条の傘鉾人形を「三条祭りの文化のひとつ」と称えて講評を行った。
金賞の鍛冶町の作品「輝け令和 祝い餅!」は、干支のイノシシが2頭で餅つきをしている作品。餅つきは決して一人ではできず、連帯感を高め、喜びを分かち合うという意義があり、ことし一年が幸せであるようにと込められているとし、「市民全員が助け合い、幸せでいられるよう願いを込めました」。「令和元年、ひとり一人が希望をもち、それぞれの花を咲かせられる『三条市』でありたい。三条市全体が幸せで輝く一年でありますように」との思いを込めたという。
見物客は、青空の下、赤い幕をつけた傘鉾の上に乗る人形を見上げ、「すごいね〜」、「よくできてるね」と力作ぞろいに感心。
残念ながら得点は最下位だった三条市職員互助会の「『平成』から『令和』へ」と題して「令和」を掲げる菅官房長官を模した作品は、「あっ、令和おじさん」と小中学生や若いお母さんたちの人気を集めていた。同作品1点のみ、16日から1週間ほど市役所の正面玄関に展示されている。
傘鉾の製作は、町内などの幅広い年代のコミュニケーションの場としても引き継がれているが、参加団体は減少している。以前は町内や商店街、事業所など20余りの団体が参加していたが、少子化や高齢化、さらに2004年(平成16)の7.13水害以後の河川改修で市街地からの移転も多く、現在は最盛期の3分の1ほどに減り、存続を心配する声もあるほど。同組合では、出品してみたいというところがあれば声をかけてほしいとしている。
令和元年の各賞と「タイトル」(得点)は次の通り。
【金賞】▲鍛冶町「輝け令和 祝い餅!」(94)
【銀賞】▲上町「汚染された海には もう住めん!!」(87)
【銅賞】▲田町かさぼこ会「守護神弁慶」(86)
【佳作】▲四之町「少子止め子宝増へ令和繁栄を!」(84)▲八幡町「イチロー感動を有難う。そして新しい歴史の始まり」(76)▲三条信用金庫「聖火をつないで2020!東京オリンピック・パラリンピック(73)▲三条市職員互助会「『平成』から『令和』へ」(70)
(坂井)