5月27日午後、三条市のジオワールド・ビップで開かれた新潟県すし商生活衛生同業組合の令和元年度通常総会燕三条大会の懇親会で、来賓として菊田真紀子衆院議員と国定勇人三条市長が席を並べた。
この日の「新潟日報」朝刊の一面に、国定市長が新潟4区の自民党支部長就任に前向きであるという記事が掲載された。支部長になれば次期衆院選に出馬するという流れだ。
4区選出の衆院議員は、菊田氏。無所属から自由党、民主党、民進党をへて前回衆院選では無所属で立候補し、野党勢力を結集して自民党の金子恵美氏を破って6選を果たした。
国定氏と菊田氏はこれまで二人三脚で協調して歩んできた。国定氏は三条市長の立場から、三条市のためにどれだけ働いてくれたか、実績を最大の判断材料に衆院選ではもっぱら菊田氏を支持してきた。
前回衆院選で前支部長の金子氏が落選すると、国定氏の支部長就任が盛んに取りざたされるようになった。就任すれば菊田氏とたもとをわかち、衆院選で戦うことになるだろう。
そんな記事が一面を飾った日の2人の接触。来賓の顔ぶれからすると、席次を考えれば2人が席を並べるのは自然だ。
先に来賓祝辞に立った菊田氏は、「皆さまがたのますますのご活躍とご健勝を祈念いたしまして」と祝辞を締めにかかったところで、「きょうはこのあと、国定市長さんがごあいさつされます。新潟日報、見ました?」と記事の話を持ち出した。
「ちょっと、どっきりしましたけれども、衆参ダブルになるかもしれないんですよね。解散する可能性があります。そうなった場合、私と国定さん、これまで仲良くやってきたんですけど、戦う可能性もなきにしもあらずということで、このあとじっくりお話をさせていただきたいと思っております」と出席者を笑わせた。
続いて祝辞を述べた国定氏。新潟の食の豊かさや燕三条の製品の価格に合理性があることと認められてきたことなどについて、長めの祝辞だった。こちらも「(組合員が)日夜、研鑽を積まれることを心から祈念してやみません」とあいさつを終わるかと思ったところで切り出した。
「私の思いとは裏腹に、きょうの新潟日報さんの一面を飾ってしまいまして大変、微妙ななかで、まさか菊田さんの隣に私が座るとは思ってもみませんでした」と笑わせた。「こうした素晴らしいお取り計らいをいただきました、すし組合の皆さまがたに最後の最後に感謝を申し上げる」と落として見せた。
大喜利のような祝辞の勝負はイーブンか。開宴後、話を聞くと菊田氏は、選挙で戦うには相手を倒すという気持ちが必要なのに、国定氏が相手では「闘志が涌かない」と笑った。国定氏は支部長就任のことを指してか、「(自身は)受け身ですから」と返した。
衆院選は菊田氏、市長選は国定氏に投票してきた三条市民は多いはず。国定氏が新潟4区から出馬して2人が戦うことになった場合、どちらに投票すべきかの選択は悩ましい。
(佐藤)