火事で煙が充満する家から女性を救出した2人に人命救助で感謝状 (2019.5.30)

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三条市消防本部(升岡謙治消防長)は29日、9日に発生した三条市貝喰新田地内の住宅が全焼した火災で、煙の充満する建物内から女性を救出した男性2人に感謝状を贈った。

升岡消防長から感謝状を受けた左から小林さん、森山さん
升岡消防長から感謝状を受けた左から小林さん、森山さん

感謝状を受けたのは、近所の三条市議会議員でもある農業、森山昭さん(70)=三条市貝喰新田=と、近くで仕事をしていたJAにいがた南蒲職員で同農機具センター副センター長の小林和義さん(47)=三条市新堀=の2人。

近所の人など4人で、火元の住宅内で煙を吸って倒れたいた40歳代女性(家人)を救出。女性は、のどのやけどなどで病院に運ばれたが命を失うことはなかった。同消防本部は、この4人に感謝状贈呈を打診したところ2人は辞退した。

火災があったのは5月9日夕方。午後4時半ころ、小林さんは、火災現場付近で煙が上がっているのに気づき、その方向に自宅のある森山さんの家族など仕事の関係者に「近くが火事では」と電話で知らせるとともに、「火事だ!」と大きな声を出しながら煙の見える方へと走っていった。

森山さんは、自宅近くで田植えの準備をしていたところ、家族からの電話で火事を知り、急いで自宅に戻り、火元の住宅に駆け付けた。

小林さんらが到着した時は、軒下から煙が出ており、近所の人と森山さんと2人で消火栓ボックスを開けて消火活動を行う準備にかかったところ、火元の家人が、煙の出ている家に向かって(40歳代女性)の名前を叫んでいた。

すぐに4人が女性を助けようと行動し、小林さんが鍵のかかった玄関のガラスを割り近所の人と入ろうとしたが、すでに煙が充満して入れなかった。森山さんは、建物脇の廊下側に行き、鍵のかかっていたサッシをちょうど手にしていた消火栓の開閉器で割って鍵を開け、近所の人とともに煙の中に身をかがめて入った。

中は真っ黒な煙でほとんど見えない状態だったが、森山さんの目の前に足が見え、2人で倒れている女性を廊下に運び、そこから小林さんたちと外に運び出した。

そのあとは、付近の人たちが女性に毛布をかけたりし、間もなく到着した消防本部に引き継いだ。森山さんが家族からの電話を受けてから、10分もたっていない間の出来事だった。

午後2時から同本部で贈呈式を行い、升岡消防長から森山さんと小林さんのそれぞれに「自身の危険を顧みない勇気ある行動により、尊い人命を救出した功績に感謝の意を表す」とする感謝状を贈り、「勇敢なる活動により、命を救うことができました」と礼を述べた。

感謝状を受けた森山さんは、「となり近所であったことで、普通のことをやったつもり。もらっていいのかと恐縮しています」。また、開閉器を手に持っていたこと、ガラスを割って入った位置からすぐに発見できたことなど、救出できたのは「偶然が重なった」とも。

森山さんも小林さんも、ガラスを割るところまでは冷静に覚えているが、そのあとは無我夢中で、室内は熱く、真っ黒な煙とともに炎も見えたが、「怖いとか、うかばなかった」と話していた。

(坂井)


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