5月25日に新潟県加茂市で行われた「NPO法人骨髄バンク命のアサガオにいがた」の設立10周年記念事業で講演した新潟県立がんセンター新潟病院の石黒卓朗内科部長。冒頭で長めの自己紹介をした。昭和38年生まれで東京都葛飾区出身。友だちと遊んで夕方になるとその友だちの家で晩ご飯を食べて帰る「人情味あふれる場所で育った」。
新潟に来た日に回転ずしで新潟に魅入られた
上越新幹線ができるころに新潟に来た。「田中角栄がいらっしゃらなければわたしはここにいない」。新潟で最初に驚いたのが、引っ越しして新潟大学近くの回転寿司に行き、「そこのすしがものすごくうまかった」。
新潟に来るまでサケは焼いたものしか食べたことがなかったが、その店にはサーモンがあった。「サーモンって確かサケだよなと思って頼んでみたら、すごくおいしくて一晩で30皿近く食べまして。新潟に来た日に新潟に魅入られた形になった」。
東京では「なんでこんなの飲むんだろうと思ってた」日本酒も、長岡市の蔵元の酒「福扇」にはまって大好きになり、学生の6年間、研修医の2年間の8年間、当時は100以上あった県内の酒蔵をすべてめぐった。「それがわたしの自慢」で、「新潟大学に日本酒学講座ができた。もしそこに教員の口を紹介していただければいつでも就任するので宣伝をお願いします」と笑わせた。
ユーチューバー品川イッコーのすし動画
そのあとに新潟県すし商生活衛生同業組合の令和元年度通常総会燕三条大会の懇親会の会場へ。来賓の国定勇人三条市長は、よく見ているというユーチューバー、品川イッコーの動画について話した。品川イッコーは、「カウンターずしがいかに文化を培い、多くの客にいやしと豊かさをもたらすのかを日々、実践している」。
高級なカウンターずし店を回り、ことしに入ってから全国のカウンターずし店を各県1店ずつ回っており、「なぜこれだけ値段に差が出るのかを力説している」と言う。「目の前に出される熟成ずしの場合、このマグロのたった一貫のすしができあがるまでに65日も時間を要し、それだけでなく65日間、熟成させるための技術を手に入れるために10年近い、失敗の連続を苦労したうえで、この目の前のすしにようやくたどり着いたというストーリーを動画で見せてくれる」と絶賛した。
おもいがけず2つのイベントですしの話がつながり、イベントがずっと続いているような妙な感覚だった。同時に自分のすし体験を思い出していた。
両極端なすし店体験
昨年暮れ、首都圏であった妹の結婚式に出席した。式後に妹夫婦の家の近くにある回転ずしのなかでは高級な方というすし店でごちそうしてもらった。刺身を頼んだら、メニューにある写真とのあまりの違いに驚いた。
写真にはぷりっとしたぶ厚い刺身が写っていたが、運ばれてきた刺身は干からびたような薄い刺身。その薄さと言ったらフグか!と突っ込みたくなるほど。刺身の向こうの景色が見えるようなぺらっぺらの薄さにがっかりした。
先日は新潟市秋葉区ですしを食べた。31日まで「にいつ食の陣」が開かれているということで参加店を探し、時間が遅かったこともあってすし店へたどり着いた。豪華な花ちらしずしが1,100円。最後の客だったこともあるのだろう、食べ終わろうとすると具や酢飯が追加されて、腹が苦しくなるほど食べて大満足だった。
新潟に生まれ育っているので当たり前だと感じているが、県外で外食すると新潟の食のレベルの高さに気づかされる。もっと新潟の当たり前の食を発信、アピールしていきたい。
(佐藤)