この夏の参院選の新潟選挙区(改選数1)に野党統一候補として出馬する打越さく良氏(51)の応援で立憲民主党の枝野幸男代表が6月9日、新潟県内4カ所で街頭演説を行って打越氏の支援を呼びかけた。
県央地域でも午後3時半から燕市・ハウスヴィレッジ燕三条店前で打越氏と地元新潟4区選出の菊田真紀子衆院議員とともに演説し、数百人が集まった。
枝野氏は、平成が始まったバブルの時代は「貧困」という言葉をニュースで見ることがあってもそれは海外の話で、平成の30年間に貧困と格差の問題が日本に広がり「この30年で急激な高齢化と人口減少でまちの活力が失われた」、「一次産業は将来の希望が失われた時代が続いてきてしまった」と始めた。
多くの人が本当の豊かさを実感しながら暮らしていける時代に
元号が変わって初めての大きな国政選挙、夏の参議選で「これまでの時代、足りなかったことを間違っていたことをこの機会に変えていくその大きな一歩に」と呼びかけた。ステージが変われば暮らしが良くなり、「多くの人が本当の豊かさを実感しながら暮らしていける」時代にしていこうと訴えた。
平成の30年間、日本経済はずっと低迷しているが、輸出は平均して4%近く成長し、貿易収支は黒字が続いて稼いだ金が積み上がっているのに、暮らしが良くならないどころか貧困にあえぐ人が増え、日本はどんどん疲れきっているとし、おかしいのは「日本の豊かさがしっかりと国民の皆さんのところに行き渡らない、その政治の仕組みにある」と指摘した。
アベノミクスは大きな企業をもうけさせることには成功し、日本の企業収益が過去最高を記録し、株価は2倍に上がったが、企業の内部留保としてため込まれ、従業員の給料に回らず、日本全体が豊かにならないとし、「だったら政治がきちんと分配しなければいけない」。
農業者戸別所得補償制度を法制化し農業で生活できる安心を
日本の輸出企業がもうけているのは、一次産業で働く人に無理を強いていることの裏返しで、国の食料の安全保障に目をつぶって農業を自由化した。そのもうけた分をしっかりと税金として納め、「土地を守り、緑を守り、水を守り、空気を守っている一次産業になっている皆さんの生活をしっかりと下支え」し、農業者戸別所得補償制度をしっかり法制化し、農業で生活できる安心をつくっていかなければならないとした。
麻生氏の老後に約2000万円の発言を批判
麻生副総理兼金融担当大臣が、老後に約2000万円の蓄え必要と述べたことについて「老後のためにこつこつ蓄えを積み重ねてきても使えないのが、今の日本じゃないか」、「多くの高齢者の皆さんに歳を重ねれば重ねるほど不安が大きくなるというとんでもない社会をつくっている」と批判。偏っている豊かさを税金で納めてもらい、求人がままならない介護職の給料を上げることに充てる必要があると方策を示した。
少子化についても「上から目線で子ども3人、産むようにやってください。産めないような社会にしたのは政治じゃないですか。産み育てたいと希望する人が安心して産み育てることができるように保育所を増やす、放課後の学童保育を増やすこと」。貧困家庭も学ぶ機会を保障し、意欲ある子ども進学できる社会にすれば出生率が上がる。「上から目線で自己責任であるかのように子どもを産めと言うのじゃなく、産めるための環境整備」が必要と述べた。
東京の一等地の六本木ヒルズのタワーマンションに住む人の収入が5億円から10億円に増えても燕市や三条市のモノの売り上げは変わらない。地域経済を元気にするには「その地域に暮らす人たちの収入を増やさない」。そのために農業者戸別所得補償制度や介護職員や保育士の賃金を上げ、サービス残業をなくして残業代を払うことで、残業代をちゃんと払えば賃金が全国で5兆円膨らみ、「そうした皆さんが地域の買い物するから地域の経済は元気になる」と導いた。
元号が変わると半年で総理が辞任する歴史と伝統は大事に
つまり「一人ひとりの皆さんの家計所得を増やす。地域での消費が増えて地域の中でお金が回る。そういう経済に変えていく」。そのためにも貧困にあえがず、老後の不安にさいなまれない、「そんな社会をつくっていきましょう」と呼びかけた。
「歴史と伝統は大事にしたほうがいい」。その心は、明治から大正、昭和、平成と元号が変わるたびに「変わってから半年くらいで総理大臣がくびになっている」という歴史と伝統。そのためにはまず参院選に勝利することで、新潟選挙区に出馬予定の現職の塚田一郎氏は「総理に忖度(そんたく)してお辞めになった方。まさに古い政治の象徴みたいな方」と批判した。
一方、打越氏は弁護士として困った声人の声を聞き、寄り添ってきた人で、「新潟の皆さんの暮らしの声をしっかりと受け止めて新潟に暮らす皆さんの暮らしがより良くなっていく、その仕事ができるのがまさにこういう経験と実績を踏んできた」と支援を求めた。
参院選の戦いは次期衆院選の菊田氏にも影響
「菊田真紀子さんのご支援をいただいている皆さんがたくさんお集まりいただいているのでは」と話を変え、衆参ダブル選挙も予想されるなか、「打越さんの参議院選挙に向けた活動を皆さんにご支援いただくことはそのままそっくり菊田さんがもし、衆議院解散されてもしっかりとこれからも皆さんの声を受け止めて国会でさらに大きく活躍をしていただく。そのことにつながっていくんだと言うことを認識していただきたい」と菊田氏にとっても大きな意味をもつ選挙でもあるとした。
ダブル選挙になったら「衆議院は菊田さんを、参議院では打越さく良さんをしっかりと新潟の皆さんの力で押し上げていただき、この新潟から半年内外で総理が変わる、そこに向けた大きな大きなのろしを上げていただきたい」。
「政府がいろんなものを隠したりごまかしたりいい加減なことをやっていますが、それでもあなたの一票がこの国のあなたの暮らしの明日を決めるんです。あなたにはその力があります。私にはそのあなたの力が必要です」と支援を訴えた。
打越氏:声を上げられない人たちに耳を傾けてる
打越氏は、弁護士としてかかわった子どもを希望通りの進学をさせられない親のことなどを話して社会のゆがみを指摘し、「強者の方じゃなく、生活して頑張っている、額に汗して頑張っている人たちを念頭にした政治であってほしい。そういうことを皆さんが言える機会がこの参議院選挙です」。
「わたしは声を上げられない人たちに耳を傾けてきた。その弁護士の経験を生かして皆さまの声にしっかりと耳を傾け、政治に届けていく」と支援を求めた。
菊田氏:今の政治はでたらめ 栗原氏はもう少し様子を見なければ
菊田氏は「今の政治はでたらめ」で、公文書改ざんやデータの隠ぺい、誰も責任をとらず、安心だったはずの年金もどうなるかわからなくなり、社会のゆがみや格差の広がりを指摘。「党派を超えて野党と市民の力を結集して、あの上ばかりを見て、忖度(そんたく)に専念するようなそんな政治を変えていこう、倒していこう」と呼びかけた。
演説のあと菊田氏は囲み取材で打越氏について「声に非常に力強さがこもってきたし、やはり絶対に頑張り抜きたくない、負けたくないという気持ちが伝わってきたと思う」と言い、医師の栗原洋志氏(48)が出馬の動きを見せていることについては、「もう少し様子を見る必要があると思う。毎回、出る出る出ると言って出ないということが続いていましたし、どういう立場で出られるのかも含めて状況をよく見たい」と答えた。
(佐藤)