三条市は10日、令和4年度の供用開始を目指して旧三条小学校跡地に建設する新しい図書館と鍛冶ミュージアム、科学教育センターの3つの機能を備える「図書館等複合施設」の建設基本計画(案)を明らかにした。
午前10時から開かれた三条市議会の市民福祉・総務文教・経済建設常任委員連合協議会で同計画(案)を説明し、質疑に答えた。
整備スケジュールは、令和4年度に供用開始とし、今年度から翌2年度にかけて設計、2年度から建設工事を行う。あわせて運営体制の検討を進めることとしており、令和2年度に新運営体制決定、供用開始の前年の3年度から新たな運営体制を確立するなかで現図書館を運営していく計画。
同施設の検討経過「計画策定に当たっての背景と趣旨」の項目では、旧三条小学校を中心とした中心市街地が高齢化や空き店舗の増加などにより、かつてこの地域が有していた交流の拠点としての機能が失われつつある。そのことから、時代背景を踏まえ、より多くの人が出かけ、そこでの交流から新たな活動が創出されていくような好循環を生み出すために必要な仕掛けについて、ハード、ソフトの両面から検討を進めてきた。
旧三条小学校跡地について、隣接するステージえんがわ、鍛冶道場を含めた一体の敷地と捉えたとして、「この施設の設置により、鍛冶ミュージアムで鍛冶の歴史や技術に見て、触れて、科学教育センターで科学や金属について学び、鍛冶道場で体験する、あるいは図書館で専門書から理解を深めるといった人の滞留を創出し、加えてステージえんがわでくつろぐような人の流れの創出を図ります」。
「さらには、図書館等複合施設と三条市体育文化会館や中央公民館など交流を創出する点と点とを有機的に結び付けることによって、多くの人々がまちを行き交い、多彩な市民活動を育みエリアとしての面展開に向けた環境整備を進めるもの」と記載している。
複合施設全体のコンセプトは、「学ぶ、見る、触れるものづくりのまちの図書館等複合施設」。「図書館及び科学教育センターで「学ぶ」、鍛冶ミュージアムで「見る」、「触れる」ことを通じて、あらゆる世代が「知識」と「人」に出会うための場ときっかけを提供します」。
複合施設の基本的な機能のなかでは、3つの機能に加えて「民間活力の導入」として100平方メートル程度の民間施設(飲食、物販棟)を併設する。共有スペース等の駐車スペースについて、は、鍛冶道場側に常設で80台程度を見込んでおり、場合によっては臨時的にグラウンドも活用し、さらに80台程度のスペースを確保する考えを示した。
同施設の建設基本設計と実施設計は、隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区南青山2)が行う。建物概要や予定事業費 1億3,025.5万円以内とするなどを示したなかで3月に実施された公募型プロポーザル方式に同社を含めて6者が参加し、審査の結果、選定された。
市は、6月17日から同基本計画(案)のパブリックコメントを行う。また、隈研吾氏が参加して市民の声を聴くワークショップを7月末に計画している。
(坂井)