ことし1月の世界戦で日本人ボクサーとして初めて米国・ニューヨークのマジソンスクエアガーデンのリングに立った加茂市出身のプロボクサー、高橋竜平選手(28)は、6月11日に東京・後楽園ホールで行われたスーパーバンタム級8回戦で勝利し、見事に再起を果たした。
対戦相手は、東洋太平洋ボクシング連盟王者にも挑戦したことのある韓国のイヌ・ジヌク選手。イヌ選手は5ラウンド終了後のインターバルで鼓膜の破裂を訴えて棄権し、TKOで高橋選手が勝利した。
高橋選手は横浜光ボクシングジムに所属し、2012年にプロデビューした。1月19日に行われたIBF(国際ボクシング連盟)スーパーバンタム級タイトルマッチで、世界チャンピオンのTJ・ドヘニー選手(アイルランド)から挑戦者の指名を受けて対戦し、善戦したものの惜しくもTKOした。それから5カ月たっての再起戦となった。
世界戦には負ければボクシングをやめる覚悟でのぞんだ。結果は惜敗で、やり切ったと思ったが、まだ体が動くし、気持ちも切れず、「まだできると思っている自分がいた」(高橋さん)。ボクシングを離れてこんなに熱くなれるものはボクシングしかないという自分の気持ちにあらためて気づいた。
世界戦を経験して「世界での自分の位置をしっかり感じた」。世界で戦えるボクサーに一歩でも近づけるようにと、練習を再開し、再起戦にのぞんだ。試合ではあまりパンチをもらわず、「いい感覚をつかめた試合だった。試合をコントールし、ペースをつかめた」。周囲からも安心して見ていられたと言われ、自信を深めた。
「次は9月か11月に試合が決まると思う。この勢いで長く間隔をあけずにコンスタントに試合をこなしていきたい」。一方で世界戦に出場する選手は、国内でベルトを取って力を証明してから世界で戦っている。高橋さんも視線の先に世界戦を見据えて、国内戦で実績を積もうと考えている。
(佐藤)