新潟県の加茂市と三条市でスーパー2店舗を経営した加茂市の株式会社サンゴマート(珊瑚豊治代表取締役)が7月1日、事業を停止し、破産申請の準備に入った。負債総額は約6億円。加茂市の「フーデリッシュメリア店」は地元商店街のシンボルといえる加茂駅前の商業施設「メリア」のメーンとなる店舗。三条市の店舗「サンゴマート下田店」は下田地区唯一の本格的なスーパーなだけに、いずれも地元に大きな衝撃が走っている。
メリアは三条市に本社を置いたスーパー「まるよし」などが入居し1986年にオープン。まるよしの倒産で「フクヤ」に変わり、さらに「サンゴマート」に変わってことしで10年目になった。市街地のこともあり、とくに車のない高齢者の台所として重宝がられていた。
1日は朝から事業停止を知らない市民がひっきりなしに訪れ、閉ざされた店舗のシャッターの張り紙に「ほんきにやめたんだか」、「はやってたのになんで」と立ち尽くした。
メリアを運営する加茂ショッピングセンターの理事長は、メリアで子ども服「おのマミー」を経営する小野喜平さん(63)。「今朝になるまでメーンバンクも誰も知らなかった」と驚き、関係者への連絡や心配して電話してくる人の対応に追われた。
決して店舗がはやっていなかったわけではなく、「価格を安くしすぎて粗利が少なかったのが原因なのか」とも。メリアからスーパーが消えるのはこれで3度目。メリアのオープン当初、13人だった組合員は今は4人まで減った。
サンゴマートの閉店で集客力の低下は免れない。これまでスーパーが閉店してもなんとか集客を取り戻してきた。「1日も早く新しいスーパーが入ってくれればと思う」と、自身もこれからスーパーのメリアへの誘致に取り組む考えだ。また、メリアのサンゴマート以外の店舗はこれまで通り営業しているので、変わらず足を運んでほしいと来店を呼びかけている。
メリアと加茂市の直接的なかかわりはないが、加茂駅に降り立つと正面に建つ加茂市の顔とも言える施設。藤田明美加茂市長も深刻に受け止め、「詳細がわからないので何とも言えないが、市民への影響は大きく、詳細を確認して市として何ができるかを考えていきたい」と話した。
一方、サンゴマート 下田店は、ホームセンタームサシ下田店のとなりに建つ。事業停止はSNSなどを通じて瞬く間に広がり、1日は事実を確認しようと下田店を訪れ、張り紙を見ていく人が相次いだ。
下田地区には、ほかに市役所下田庁舎に生鮮食品もそろえる横田精肉店があるが肉の販売にスーパーのような機能を付加した形で、本格的なスーパーはサンゴマート下田店が唯一だった。サンゴマート下田店より三条市寄りの大浦地区に住む40歳代の女性は仕事帰りにサンゴマート下田店に寄って便利に使っていたが、「死活問題です」と困り顔。「三条地区のスーパーにも同じくらいの時間で行けますが、帰り道じゃないので、すっごい不便」とがっかりする。
「ここは毎日のように駐車場がいっぱいになるくらいお客さんがいっぱいいて、売り上げすごいだろうなってみんなと言ってた」、「すっごい安かったので、安売りしすぎだったのかどうなのかわからないけど常時、アルバイトを募集してたくらいで」と事業停止に首をかしげながらも「代わりに大きなスーパーが出てきてくれらたらうれしい」と、結果的に良くなることに期待していた。
(佐藤)