燕の工業炉製造の技術で親子で作ったピザ窯で焼く本格ナポリピザが味わえる「RORNO」 (2019.7.5)

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2018年10月にオープンした本格的なナポリピザが味わえるピザ・イタリア料理「RORNO(ロルノ)」(新潟県燕市東太田)。金属加工の町、燕市で工業炉を製造する技術で父とともに製造した薪窯(まきがま)での焼き上げこだわっている。

燕の工業炉を製造する技術で作られRORNOのピザの薪窯と経営する遠藤さん
燕の工業炉を製造する技術で作られRORNOのピザの薪窯と経営する遠藤さん

。店内に入ってすぐその薪窯が目に飛び込む。真っ黒に塗装された鉄製。つなぎ目には太いボルトが締めてあり、窯口から赤い炎がのぞく。蒸気機関車の釜を思わせる重厚感で実際、重さは4トンにもなる。

内部は伝統的なナポリピザの窯を再現し、本場の材料にこだわった。れんがをドーム型に組み、炉床は修行したナポリの師匠の教えに従い、日本では入手できないナポリの火山灰を含む石を輸入して使った。炉床の直径は1.2m。直径30cmのピザを一度に最大5枚、焼くことができるのは日本海側最大と思われるほど大きと言う。その下にはイタリアの塩と砂を敷き、まじないで1ユーロのコインも入れてある。

輸入したナポリの石を炉床に
輸入したナポリの石を炉床に

ピザの基本的な味を決める小麦粉、トマトソース、モッツァレラ、塩など主要な材料はすべて南イタリアから輸入している。経営するのは遠藤忠彦さん(29)。「ピッツァの窯にいちばん大事なのは、薪の炎、炉床の温度、空間の温度の3つの要素。このバランスがとれていないといいものが焼けない」と言う。この窯を使えば「ナポリの修業先となんら変わりなくピッツァを焼くことができる」と言い切る。イタリアへ行かなくても本場のナポリピザが味わえるというわけだ。

遠藤さんは燕市の飲食店「オールデイズカフェ」で働いたあと、県内、さらにイタリアに渡ってナポリの店でピザづくりを修行した。しかしピザよりも窯が先にあった。遠藤さんの父、徹さん(57)は工業炉を製造する燕市吉田法花堂にあった築炉会社で工場長として働いていたが、会社の後継者がいなかった。そこで父が7年前に株式会社遠藤築炉工業を設立して、その会社の事業承継をした。

ナポリで取得したナポリピッツァ職人協会の認定書
ナポリで取得したナポリピッツァ職人協会の認定書

「飲食業を目指していたので、会社は継げないが、何かしら父の仕事を自分のなりわいのなかに残したかった。父の作る窯を残したいと思った」と遠藤さん。父の期待に応えられない申し訳なさもあって思いついたのがピザ窯であり、そこで初めてピザ職人になろうと心に決めた。

夜は飲食店で働き、昼は工場で父の仕事を手伝っていた時期がある。ピザ焼き窯には工業炉のような高性能は必要ないが、仕事の合間をぬって父とふたりで製造したので、2017年秋から18年夏まで1年近くかかった。「この窯でずっと焼き続けていきたい」と大満足の薪窯にできあがった。

太いボルトが使われた窯のとなりに焼きたてのピザが並ぶ
太いボルトが使われた窯のとなりに焼きたてのピザが並ぶ

17年、米国のニューヨークでもシカゴでもなく、ナポリピザ職人がユネスコ無形文化遺産に登録された。遠藤さんは15年にナポリでナポリピッツァ職人協会の認定職人となった。「200年以上も続く伝統的な食べ物。本物を出していくことに魅力を感じる」と遠藤さんは言い、今後も定期的にナポリの師匠をたずねて学び、ナポリピッツァ職人世界選手権の出場も目指している。

店名の「RORNO」は、イタリア語で地元燕市にちなんでツバメの意味の「RONDINE」と窯の意味の「FORNO」をつなげた造語。薪窯の製造で地元の工業とピザが結びついたが「地元の工業や農業ともつながって、10年後、20年後と続く活動をしていき、それを文化や伝統にしていくのがテーマ」と話している。

RORNOのスタッフ
RORNOのスタッフ

遠藤さんを含め5人のスタッフでランチは午前11時半から午後3時まで、ディナーは5時半から10時半まで営業。定休日は水曜。問い合わせはRORNO(電話:0256-64-7455)へ。

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