株式会社三条特殊鋳工所=内山照嘉社長・三条市福島新田=のキッチンウェアブランド「UNILLOY (ユニロイ)」の公式アンバサダーシェフに就任した世界最高の100のレストラン(フォーブス)にも選出されたドイツのスターシェフの1人マリオ・ガンバ氏=レストランacquarello(アクアレロ)・ミュンヘン=が11日、燕三条の工場を見学した。
「UNILLOY」は、厚さ2mmの極薄・鋳物ホーロー鍋で、「世界一軽い、鋳物ホーロー鍋」とうたう同社のオリジナルブランド商品。2015年には、世界の3大デザイン賞といわれる「レッドドット・デザイン賞」のプロダクトデザイン部門で、最高賞の「ベスト・オブ・ザ・ベスト」を受賞。薄さと軽さは革新的で、今後の鋳物ホーロー鍋のスタンダードになっていくとの高い評価を受けた。
同社は、今後のヨーロッパ市場へのアプローチのため、ドイツのエージェントを通じてガンバ氏と出会った。2月にドイツ・アンビエンテで開催された展示会に出展した機会に内山社長がミュンヘンを訪れ、「ユニロイ」の商品を評価したガンバ氏は現在、「アクアレロ」や自宅でも使用しているという。
ガンバ氏は、イタリアの建築事務所を経て料理の道へと進んだ。スイス・サンモリッツのパレスホテルのフレンチスターシェフの下で働き、スペインのマジョルカ島にレストラン「トリスタン」をオープン、ミシュラン二つ星を獲得。1994年にドイツ・ミュンヘンに「acquarello」をオープン。19年連続でミシュラン一つ星を獲得、フォーブス・世界最高の100のレストラン、イタリア農務省・イタリア国外の最高イタリア料理レストラン賞、OADトップヨーロピアンレストランに選出。料理本も複数出版するドイツの有名スターシェフ。
アンバサダーシェフとなり、同社を訪問するために10日に来日。同日、内山社長の案内で玉川堂などを見学して嵐渓荘に宿泊。11日に同社を訪れて、「ユニロイ」の製造工程を見学した。
各工程で熱心に質問し、「ものすごく驚き、ものすごく感動した」、「働いている人たちの気持ちが入っているところを見ることができた」と話した。
さらに印象的なこととして、今回、内山社長の会社を見るためだけに来日したが、内山社長がほかの工場を案内してくれたことにも驚いたとし「燕三条地域を誇りに思っていると感じることができた」。「内山さんの考え方、フィロソフィ(哲学)に共感をもっているし、あとは(工場内の炉の)火。そして、1ヶ月700万円という電気代」と笑った。
また、今回、アンバサダーを引き受けた一番の決め手は、「クオリティとカルチャー、そして内山社長との心のつながり」と話した。「ユニロイのクオリティーは、60年の歴史とともにつくられているが、内山社長は、もっとよくするために、もっとよくするためにと常に頑張っている」、アクアレロも同じで「大きなレボリューションとは毎日新しいメニューを作っていくことが大事なのではなく、今ある料理を昨日よりもよく、前よりもよく、毎日毎日よくしていくことが大きなレボリューション」、「昨日よりも今日、今日よりも明日というユニロイ」とその精神に共感を示した。
来日は、大阪の辻調グループにイタリア料理の講師として以来で27年ぶり。現在、5カ国語を話すというガンバ氏は、「次は日本語」と話していた。
今後は、ヨーロッパへのプロモーションとあわせ、10月末ころ発売予定で開発中のフライパンへのアドバイスもしていく。
(坂井)