7月21日執行の参院選で新潟県三条市の一ノ木戸商店街などにある5店舗が投票した人にサービスを用意する「選挙割」を行っている。自分も体験できることにはたと気づき、出かけたついでに体験してみることにした。
一ノ木戸商店街の中心市街地拠点施設「TREE」は、ことし4月の新潟県議選で三条市内の投票所で投票済証明書の交付を受けて提示した人を対象に選挙割を企画したが、三条市選管は投票済証明書交付の趣旨と異なり、選挙事務が滞る原因になることから、選挙割目的の投票済証明書は交付しないことにし、物議をかもした。
しかし今回の参院選では、三条市選管は要望に応えて歩み寄り、簡易版の投票済証を発行することに。それを受けて「TREE」はコーヒーかソフトドリンク1杯を無料、「ieスタジオ」がレギュラーレッスン1レッスンを無料、「へぎ蕎麦処むろしま」がそば大盛り分を無料、衣料品のビンテージストア「Mystery Train Vintage」が対象商品の20%オフとオリジナル缶バッジプレゼント、北三条駅そばの「三条スパイス研究所」がランチかデザートの注文時にコーヒー1杯の無料サービスの選挙割を行っている。
残念ながら燕市民なので対象外と思っていたが、「TREE」は今回、三条市以外の投票済証明書などでもサービスが受けられるようにしている。隣の燕市もこれまでも希望者に投票所到達証を交付しているが、この参院選では三条市のように名前や住所を記入しない簡易版の投票所到達証に切り替えた。
14日、弥彦へ出かけて帰る途中でTREEなら自分も選挙割を受けられることに気づいた。仕事柄、人ごとと思ってしまいがちなところがあるが、論より証拠、百聞は一見にしかず。ここは自分で体験しない手はないと、その足で選挙割体験をすることにした。
もちろんタイミングよく投票所入場券はもちあわせていないが、手ぶらでも投票できる。午後4時45分、期日前投票所を開設している燕市役所に到着。投票所入り口には、選挙事務の職員が立ち、少し離れて出口調査のアルバイトと思われる報道関係の腕章を着けた人も立っている。
投票所に入って市選管事務局の職員にあいさつしてから投票した。燕市役所の期日前投票所だけに限るが、5日に期日前投票が始まってから前日13日までの9日間で73枚の投票所到達証を交付し、土曜の13日が最も多く21枚を交付した。入場券を持たず、投票所到達証をほしいと伝えてから期日前投票宣誓書に記入し、提出した。あとは投票用紙を受け取って記入、投票し、無事に投票所到達証をゲットした。
投票所にはほかに投票に来た人はなかった。知っている職員もいるが、凝視されているわけではないとはいえ静まりかえった会場で立会人に見守られての投票は変な緊張感がある。鉛筆が走る音まで聞こえそうなあまりの静けさに、音で画数がわかって誰の名前を書いているのかわかるんじゃないのか、うっすらBGMが流れていてもいいのにとかどうでもいいことを考えながらいざTREEへ向かった。
時折、小雨もぱらつく梅雨空の下、車を走らせ、5時17分、TREEに到着。カウンター内のスタッフとも知り合いだ。無料サービスを受けることにちょっと申し訳なさも感じつつ、「これでコーヒー飲める?」と聞くと、当たり前だがなんの躊躇もなく「はい」。通常300円のアイスコーヒーを無事にゲットできた。
投票所到達証は提示するだけで良く、回収はしないので、ほかの選挙割実施店でもまた利用できる。ただ、悪意があれば同じ店で何度でもサービスを受けられるわけで、利用したらわかるように店のスタンプでも押した方がいいかもと勧めた。なんなら各店ともスタンプを押して、スタンプをそろえるとまた何か特典が受けられるようにしてはと、思いつきで悪ノリ企画も提案した。
無料でサービスが受けられるのはもちろんうれしいし、その権利が投票によって与えられるというのも、ちょっぴり気分がいい。選挙割を受けることをきっかけに選挙を話題に話すこともあるだろう。選挙割のデメリットも指摘されているが、体験した正直な感想は「思ったよりいいかも」。そんなわけで選挙割の利用、オススメです!。
(佐藤)