新潟県長岡市・与板郷の総鎮守「都野(つの)神社」(八田元史宮司)の夏祭りだった7月15日、李崎町(すももざきまち)神楽保存会による神楽舞が奉納され、60人余りが見物に訪れた。
拝殿を舞台と客席にして「神楽祓いの舞」、「扇の舞」、「盆舞」、「鯛(たい)つり舞」、「面神楽合戦」、「手杵(てぎね)舞」の6つの演目を舞った。都野神社は歴史ある式内社で、戦国時代に直江兼続が与板に築城すると八幡宮本宮の宇佐神宮から祭神を合祀(ごうし)し、「八幡宮」の称号も受けた。以後、「与板の八幡さま」が通称になった。
皮切りの「神楽祓いの舞」は、八幡の神が獅子神楽に姿を変えてはらい清め、五穀豊穣や家内安全を祈って舞った。神楽では珍しく歌もあり、長尺な舞だ。
「扇の舞」は「蝶の舞」とも言い、頭にチョウのような飾りを着けた2人の女の子が舞った。「鯛つり舞」はポピュラーな舞だが、釣りざおでタイを釣るだけでなく、糸の先に祝儀も付けてもらった。「盆舞」は手のひらに載せた盆を巧に操って舞った。手のひらに盆が吸い付いたかのように見える大道芸風の出し物だ。
「面神楽合戦」は、よからぬものを打ち平らげたのに油断をしたすきに神楽に姿を変えた比良夫貝(ヒラフカイ)に打ち鎮められるという教訓めいた出し物。「手杵舞」は出雲大社の宮殿の上棟の祝いにもちがまかれた物語で、最後にもちまきも行った。
風がぴたりと止まり、じわじわ汗がにじむような蒸した梅雨の夜。年配の人やもちまき目当ての子ども連れの家族などが訪れ、子どもの愛らしい踊りに目を細め、アクロバティックな舞に驚きの声を上げて拍手を送り、ユーモラスな所作に笑って1時間半の舞はあっという間だった。
以前は都野神社の伶人(れいじん)が太々(だいだい)神楽を奉納していたが、後継者難でかなり前から獅子舞くらいしか舞えない状況になっていた。近年は与板から近い川袋の神楽保存会から奉納してもらい、3年前から李崎、川袋、脇野新田の3つの神楽保存会が順番に毎年、神楽を奉納しており、ことしは2巡目になった。
李崎町神楽保存会は会員が30人もいて後継者も多く、今後も奉納させてほしいと言い、頼もしかった。
(佐藤)