高速道路団体割引制度による収益を活用して異業種交流や地域活性化に取り組む協同組合新潟県異業種交流センター(小林元理事長)は7月23日、燕三条地場産業振興センターでロケット開発を手掛ける植松努さん(52)を講師に講演会「思うは招く」を開き、親子も目立ち1千人以上が参加する大入りだった。
各地でセミナーや講演会、交流会を開き、燕三条地場産業振興センターでは毎年のように講演会を開いている。今回の講師、植松さんはオンラインで講演を投稿するメディア「TED」にも出演し、YouTubeにアップロードされたその動画は約400万回も再生されていることでも知られる。
1966年(昭和41)北海道芦別市生まれ。北海道赤平市で株式会社植松電機と株式会社カムイスペースワークス(CSW)の代表取締役で、NPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)理事に就く。
植松さんはTEDのときと同様に会社の作業着を着て、来場者に手を振り頭をかきかき入場した。燕市のファンの招きで何度か燕市を訪れており、昨年秋のTBS日曜劇場「下町ロケット」の大規模ロケが燕市で行われたことが「燕市には以前から何回も呼んでもらっていたから、すごく縁があって、すごくうれしかった」。大好きなプラモデルの製作にも燕市で作られる模型用の工具「ゴッドハンド」を愛用していることも紹介した。
講演の筋はTEDの内容がベース。TEDは20分の講演だが、この日の講演は1時間半余りとボリュームたっぷり。「『ちがう』は『すてき』」、「嫌なことを我慢しないでな、なんで嫌だと思うのか考えたら人を助ける発明になる」、「わからないんだから未来をあきらめる理由はない」といったキーワードをあげた。
植松電機には部と課と役職がないこと、父にプラモデルは簡単だから鉄で作れと言われたこと、本のすごいところは死んだ人とも仲良くなれることなども話し、「“どーせ無理”に負けない人を増やすこと」、「“だりー”、“面倒くせー”は使わない方がいいよ。ぷつんと思考が止まってしまいます」と、あきらめない心がテーマの「思うは招く」を実現することを話した。
親子での参加を呼びかけたこともあって小中生が多く、子ども4人と来場した夫婦も。植松さんの話し方は早口だが、センテンスが短く、聞きやすく、理解しやすい。400枚にも及ぶプレゼン資料を映しながら話したので、テレビでテロップを見ているかのような手法も理解を深める助けになり、おとなも子どもたちもあきることなく楽しませ、感動させる異色な講演だった。
(佐藤)