新潟県燕市国上の国上寺(こくじょうじ)(山田光哲住職・燕市国上)が、燕市文化財に指定されている本堂の外壁に今春、絵画作品「イケメン官能絵巻」を設置し、燕市教育委員会に現状変更許可申請を提出したのに伴い、市教委から現状変更の可否の諮問を受けた燕市文化財調査審議会(幸田顕委員長・委員6人)は、7月30日開かれた燕市教育委員会の定例会で不許可とする結果を答申。それを受けて市教委は不許可と決定した。
定例会の冒頭で幸田委員長から遠藤浩教育長に手渡したあと、非公開で議論が行われた。答申書では6月25日付けで提出のあった現状変更許可申請は「不許可が妥当」とした。
理由は、現状変更は保存に必要最小限の修繕などに限られ、文化財の持つ価値を極力損なわない形で行うべきだが、今回の現状変更は許可申請書に「特に若い方の参拝者を増加させる」ことを目的としていうるとあり、本来の形状を大きく変え、保存に必要な措置とは認められないと断じた。
付帯意見として、市数委が国上寺側と文化財保存のための協議を行い、適切な保存が図れるよう十分に話し合うことを要望すると付け加えた。
これを受けて定例会では議論したが、国上寺の取り組みを評価する意見もあったが、答申通り不許可と決めた。市教委ではどういった形で国上寺へ通知するかも含め、これから国上寺とていねいに話し合いを進める考えだ。
イケメン官能絵巻は国上寺にゆかりのある上杉謙信、源義経、弁慶、良寛、酒呑童子が全裸に近い姿で露天風呂につかったり、竜に乗ったりする姿を描いたもので、本堂の四方の壁の外側に設置して4月19日から無料公開している。
本堂は1978年(昭和53)に「国上寺本堂 附境内地」として旧分水町文化財に指定され、分水町が燕市に合併するとそのまま燕市文化財に移行した。文化財の現状変更には現状変更許可申請書を提出して許可を得る必要があり、市教委は再三、国上寺に申請書提出を求めたがが応じないため、6月14日付けで国上寺に対し行政指導の文書を出した。
6月21日の市議会でイケメン官能絵巻を批判、原状回復などを求める一般質問があり、国上寺は6月25日に市教委に現状変更許可申請書を提出していた。諮問書の内容は次の通り。
燕市文化財「国上寺本堂 附境内地」の現状変更について(答申)
令和元年7月12日付け燕社数第537号で諮間された燕市指定文化財「国上寺本堂 附境内地」の現状変更について、次のとおり答申します。
記
1 現状変更について
令和元年6月25日付けで提出された燕市指定文化財「国上寺本堂 附境内地」の現状変更許可申請については、慎重に審識した結果、不許可が妥当である。
2 理由
市指定文化財は貴重な市民の財産として大切に保存し、後世に引き継がれるべきものである。その現状の変更は、保存のために必要最小限の修繕などに限られ、また、その方法についても、文化財の持つ価値を極力損なわない形で行うべきである。しかし、このたびの現状変更は、当該許可申請書にあるように、「特に若い方の参拝者を増加させる」ことを自的としたものであり、その変更内容についても、本文化財の本来の形状を大きく変えるものであるため、本文化財の保存のために必要な措置とは認められない。
3 付帯意見