新潟県三条市三条地区の夏まつり「三条夏まつり」初日の8月2日、ことしも市民約2000人が参加して市民民謡踊り流しが行われる。毎年、社員100人近くが市民民謡踊り流しに参加している株式会社コロナ(三条市東新保)は毎年、事前に民謡流しの社内講習会を開き、新入社員を中心に『三条音頭』と『三条おけさ』の踊りを練習している。
ことしは7月17、18の2日間、民謡団体「三条おけさ会」代表の古沢誠一さん(87)を講師に練習会を開き、勤務時間後の午後5時半から帯の結び方、6時から踊りの練習を行った。
1日目はコロナ本社と隣接の三条工場、新潟支店から新入社員からベテランまで約50人が参加。夏まつり当日の着付けは、手伝ってもらえるものの基本的には自分で着ることになっており、帯を結ぶのも必修科目。制服の若手社員には先輩社員が手を貸して教えた。
踊りの講習は、『三条音頭』、『三条おけさ』の順に行い、古沢さんが、それぞれの曲や踊りの由来、踊りのこつなどを説明して指導し、参加者があとに続いた。『三条おけさ』は、全国数あるおけさ節の中でも最も古く、江戸時代の地理、風俗や風土祈とうの文献に記載されている全国的にも貴重な文化だ。
「ふいご」と呼ばれる送風機を足で踏み、手には鎚(つち)をもって鉄を叩く鍛冶(かじ)のしぐさから生まれたと言う。古沢さんは「全国の民謡踊りのなかでも最も踊りが難しいとも言われ、この2日間の講習で踊れるようなったら大したもの」と言う。
同社は市外、県外出身の社員も多く、三条市出身でなければ踊り方は知らない。今春、入社した新潟市出身の小林純子さん(22)も練習会で初めて『三条音頭』と『三条おけさ』を聞いた。『三条音頭』はすぐに踊れたが、問題は三条市民でもほとんどの人が踊れない『三条おけさ』。「足と手の動きがばらばらでタイミングがとりづらくて難しい」とてこずったが、当日は「三条のまつりの雰囲気を楽しみたい」と笑顔で話した。
三条夏まつりの民謡踊り流しは、8月2日午後7時半から8時50分まで、神明宮前から中央商店街までの商店街通りで踊りの輪を広げる。会場で個人の飛び入り参加も受付ける。
(坂井)