「女子の甲子園」とも呼ばれる第23回全国高等学校女子硬式野球選手権大会で初優勝した作新学院高校(栃木県宇都宮市)の二塁手で決勝では逆転サヨナラ勝ちの本塁を踏んだ新潟県三条市出身の3年関桃子さん(17)が8月19日、国定勇人三条市長を表敬訪問した。
関桃子さんは父で新潟県女子野球連盟理事、新潟県県央地域が拠点の女子軟式野球チーム「県央BLジャイアンツ」代表も務める関和隆さん(55)とともに市役所を訪れた。
黒く日焼けした関さんは、作新学院のユニホームを着て首から優勝メダルを下げた。決勝戦で緊張しなかったと話す関さんの度胸に国定市長は「うちにくる?。市役所に入る?」とラブコールし、逆転サヨナラ勝ちした決勝戦の動画を見て「本当にしびれる試合を勝ち抜いたんだね」と感心した。
関さんは3人きょうだいの末っ子。小学校4年で長岡ジュニアソフトボールクラブに入り、5年で新潟県女子野球連盟の女子学童野球チーム「BBガールズ」に選ばれたのがきっかけで野球に転向した。県央BLジャイアンツは父が関さんのためにつくったチームでもある。
作新学院の女子野球部の体験で「(田代恭規)監督さんの野球が自分に合ってると思った。バッティングのチームだったので、自分もそこにまじって野球がしたいと思った」(関さん)と第二中から作新学院に進んだ。
この大会は全国の高校女子硬式野球部が予選なしで出場して全国一を競う。関さんは1年生でベンチ入り、2年生でレギュラーになったが、いずれも初戦で敗れた。ことしは7月から8月にかけて兵庫県丹波市で全国から過去最多の32チームが参加してトーナメントで競い、関さんは2塁手で一番打者を務めた。
8月2日の決勝で作新学院は大阪府豊中市の履正社高校と対戦した。どちらも初優勝をかけた戦い。両校の男子野球部ともこの夏の甲子園に出場し、18日の準々決勝で作新学院は敗れ、履正社は勝って準決勝に駒を進めた野球の名門校だ。
作新学院サヨナラ勝ちのシーンの動画
試合は7回戦で、履正社が3回表に1点を挙げて先制。その裏の作新学院の攻撃で、2死2塁の場面で関さんは右中間適時打の同点打を放った。しかし、履正社は4回と6回に1点ずつ追加し、作新学院は1-3で7回裏の最後の攻撃を迎えた。
2死1、2塁でアウトになればゲームセット、敗戦となる絶体絶命の局面で関さんに打席が回った。「ほかのユース大会や春の選抜大会でもああいう場面で何回も自分に打席が回ってきた。それを生かせなかった。その経験があったので、そういうことには絶対にならない気持ちで」と打席に入った。
「自分が打たなきゃ終わりのシーンで、不安なく打席に入れたので、それが結果につながってくれた」と関さん。土壇場で強心臓を見せ、中前打を放って満塁にした。
続く2番打者が2点適時打となる中前打で3-3の同点とし、3番打者が左中間安打を放ち、関さんは二塁から生還して本塁へヘッドスライディング。鮮やかなサヨナラ勝ちを飾った。
守備と盗塁が持ち味だが、準々決勝に進むまでは出塁できず足を生かせなかった。決勝では4打数2安打で、最終回の安打には「すごいうれしかった」。本塁に生還したときも優勝の実感がなく、校歌を歌ってるときに実感した。
「自分だけの力じゃ絶対にこんな結果にならなかったと思うので、たくさんの人に支えられて応援された結果、最高の結果になった。たくさんの人に感謝したい気持ち」と関さんは話した。
4チームが参加する女子プロ野球リーグがあり、9月に行われるそのプロテストにエントリーする。中国で行われるU-18日本代表の最終戦が残っていて、120人から40人にしぼられたなかに残っている。8月31日、9月1日に行われる最終選考で代表の20人に選ばれれば、今度はジャパンのユニホームを着る。
また、作新学院のチームメート、長岡市出身の3年大場凜さんは県央BLジャイアンツで関さんと同期。