新潟県三条市で毎年6月に行われる三条凧(いか)合戦を伝承する三条凧協会(須藤謙一会長)は8月21日、白根・見附との合同イベントの開催やフランスでの凧揚げ実演などについて記者会見した。
フランスでの凧揚げ実演などは、東芝国際交流財団支援事業のパリ・トゥールーズ日仏文化研究交流プロジェクト「地と空と−アートと考古学国際交流研究会 in France」に三条凧協会会長で三条凧合戦用の凧を製作する須藤凧店の須藤謙一さん(52)が出向いて行う。
8月28日にパリで文化遺産国際交流研究フォーラムが開かれる。日・仏・英から文化遺産を活用し、未来へ受け継ぐための活動、研究に取り組む参加者が、情報と意見を交換をする。そこで須藤会長は三条六角巻凧の製作工程などをプレゼンテーションする。
31日はフランスのトゥールーズで日仏文化交流ワークショップが開かれる。同地方の文化遺産である城郭を背景に、須藤会長が三条城の城主だったと伝わる三条左衛門の武者絵を描いた三条六角巻凧を揚げ、フランス人女流詩人のAureliaさんが中世楽器の演奏し、場内を吟遊する。
景観として受け継がれるべき有形遺産と、伝統文化として生き続けるべき無形文化それぞれの創造的な存続の仕方、未来的な可能性を探る。夕方には、スペインで修業する和食料理人による試食会もある。
須藤会長は4年前にフランス人和凧研究者のセシル・ラリ(Cecile Laly)から凧について問い合わせを受けた。セシル・ラリさんは今回のプロジェクトの実行委員も務める安芸早穂子とも活動している。安芸さんから日本文化のひとつとして和凧を紹介したいとセシル・ラリさんに問い合わせ、そこから須藤会長に照会があった。三条六角巻凧の「巻いてもっていける携帯性もすごく魅力で、実演してフランスの空に揚げてほしいと言われた」と言う。
毎年6月の初めに行われる三条市の 三条凧合戦、新潟市南区白根・西白根の白根大凧合戦、見附市今町・長岡市中之島の今町・中之島大凧合戦の3つの凧合戦は、「越後の凧合戦習俗」として2015年に新潟県指定無形民俗文化財に指定された。
合同イベントは、9月16日から11月30日までの第34回国民文化祭・にいがた2019とあわせて行われる第19回全国障害者芸術・文化祭にいがた大会の一環で、9月16、17の2日間、新潟市江南区、新潟ふれ愛プラザで行われる大凧プロジェクト。この3つの凧合戦で使われる大凧の色塗りが行われる。
三条は「トキ」、見附は「チューリップ」を絵柄のテーマにした“100枚ド”と呼ぶ縦4.2メートルの大凧、白根は「花火」をテーマに24畳サイズの大凧。図案は地元の高校、特別支援学校、中学校、小学校の子どもたちががデザインし、会場では色塗りをしてもらって完成させる。
9月17日は天皇皇后両陛下が会場を訪れる。完成した凧は、9月20日以降に県民会館ギャラリーで展示されたあと、12月30日まで県内巡回展示される。
記者会見では、ほかにDVDの完成と三条凧合戦PRキャラクターの名前募集について話した。DVDは凧合戦の歴史、凧ばやし、合戦ルール、参加する凧組の紹介、凧作りなどを約22分に編集、収録した。市内すべての小中学校に配布するほか、インターネットでも公開する。
三条凧合戦PRキャラクターの名前募集は、ことし6月の三条凧合戦会場で先に制作したキャラクターの名前を募集した。約50件の応募があったなかから、田島わくわく保育園の園児、長谷川咲空(さくら)ちゃんが応募した「いーろっかくん」に決めた。咲空ちゃんには「いーろっかくん」を描いた5枚ドの六角巻凧をプレゼンとする。