金属洋食器のカトラリーで全国シェア90%を誇る新潟県燕市が日本金属洋食器工業組合(理事長・捧和雄燕物産社長)とスクラムを組んで世界的イベントでの採用を目指して開発したオリジナルカトラリーが、2020年東京五輪・パラリンピックの選手村の食堂で採用されることが決まった。
オリジナルカトラリーは、18-8ステンレスのミラー仕上げを施したスプーン、フォーク、ナイフの3点セット。デザインは日本金属洋食器工業組合の加盟企業から募集し、応募のあった6社の10点のなかから選定した。新潟県の鳥のトキをイメージしたデザインが特徴で、それぞれの柄の裏側には「18-8 Made in TSUBAME」と刻印する。
オリジナルカトラリーが使われる選手村の食堂は、24時間営業のメーンダイニングが4,500席で1日45,000食、午前6時から午後9時まで営業のカジュアルダイニングで400席で1日3,000食を提供する。
供給数はスプーン、フォーク、ナイフそれぞれ2万6千本から2万7千本、多くて3万本。日本金属洋食器工業組合加盟企業が金型を共有して量産し、無償貸与する。選手が記念に持ち帰るものも多いと見られるが、返却された分は市内の学校や公共施設で利用し、五輪レガシーとする。
製作費は約5,000万円で、クラウドファンディング型のふるさと納税を行って調達する。返礼品にこのオリジナルカトラリー3本セットを用意するので、申し込み殺到が予想される。
8月30日行われた鈴木力燕市長の定例記者会見で質問に答えたもの。東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会から食堂の運営を任された飲食提供事業者が食堂で使うカトラリーに燕市のオリジナルカトラリーを選定。組織委員会に相談、了解を得て燕市のカトラリーの採用決定したという連絡を受けた。9月早々にも飲食提供事業者と無償貸与に関する契約するための準備を進めていると鈴木市長は経緯を話した。
鈴木市長は、正式決定を受けて「産業界ともども大変、喜んでいる。われわれの数年間の提案がようやく実り非常にうれしく思っている」と喜んだ。燕市は東京五輪・パラリンピックに向けて燕市の産業のブランドを発信し、ビジネスにも結びつけようと、6年前に2013年に業界団体などと「つばめオリンピックプロジェクト」を立ち上げている。
「燕市の名に恥じないような品質の良いものを作ってほしいし、各国のアスリートがそれを使用しておいしく食事をして最高のパフォーマンスを発揮するよう期待する」、「これを機にツバメの洋食器の品質の良さやブランドがアスリートを通じて全世界に発信していくことにつながれば」と期待を寄せた。